癒しの島の静かなクリスマス

 セナド広場から車でわずか10分のタイパ島と、20分ほどのコロアン島は、半島部から気軽に足を伸ばせるリゾートアイランド。世界遺産はないが、素朴でのんびりとしたマカオを見ることができる。

 タイパ島のメインストリートは、通称フード・ストリートともいわれる官也街。その名のとおり、100メートルほどの通りには、ポルトガルやマカオ料理、広東料理店が軒を連ねている。名店もあるので、食事のためにタクシーで足を延ばす価値は十分にあるだろう。タイパ島に来たのなら、ぜひ食事だけでなく、散策も楽しみたいもの。官也街をわずかにそれると、とたんに、パステルカラーの家がひしめく住宅街が現れる。人々の息遣いが聞こえるノスタルジックな路地裏は、近年の一大開発ブームを迎えてもなお変わることのない、マカオの優しい素顔だ。

100メートルほどの通りの両脇にレストランがひしめきあう官也街

 さらにコロアン島まで足を延ばせば、まるで時が止まってしまったかのような錯覚を覚えることだろう。この島はカジノや高層建築の規制があるため、コロアン村には、派手なネオンもビルもない。表通りに見えるのは、小さな市場や生活雑貨店、大衆食堂、エッグタルトを焼く甘い香りを漂わせるベーカリー。ガジュマルの並木が続く海岸沿いを行けば、そこには昔ながらの静かな漁村の暮らしが息づいている。のどかな村を見守るのは、「聖フランシスコ・ザビエル教会」。この時期は、黄色の壁に鮮やかなクリスマスの飾りもしつらえられ、素朴な村に華やかさを添えている。

コロアン村の中心地に立つ、聖フランシスコ・ザビエル教会

 コロアン村を訪れるなら、夕暮れ時がおすすめだ。集落全体を夕陽が染める頃、小さな村は、よりいっそうノスタルジックな色を濃厚にする。網の目のように入り組んだ住宅街を歩いたり、古びた港や乾物屋を訪ね歩いたり。カジノのネオンや喧騒とは無縁のマカオを、のんびりと味わってほしい。

左:コロアン村にある古い港は、対岸にある中国・横琴島住民専用
右:迷路のように入り組む住宅街

 マカオでは例年、クリスマスが過ぎてニューイヤーを迎えても、旧正月(2013年は2月10日)近くまでイルミネーションが続いている。クリスマスに乗り遅れても、ロマンチックな街歩きを十分に楽しめるだろう。日本より暖かく、クリスマスムードも楽しめる12月は、マカオ旅にはおすすめのシーズンだ。

仁慈堂大樓 (仁慈堂)
住所 議事亭前地
開館時間 10:00~13:00、14:00~17:30(仁慈堂博物館)
休館日 日曜祝日(仁慈堂博物館)
拝観料 5パタカ(仁慈堂博物館)
(1階が公証役場。2階は宗教的芸術品や建物に関する古文書などが展示される仁慈堂博物館となっている。博物館入り口は、建物正面の左手にある小径に面する入り口から階段で2階に上がる)

玫瑰堂 (聖ドミニコ教会)
住所 板樟堂前地
開館時間 10:00~18:00
休館日 なし
拝観料 無料

民政總署大樓 (民政総署)
住所 議事亭前地
開館時間 9:00-21:00(図書館は13:00-19:00)
休館日 なし(図書館は日曜、祝日休み。ギャラリーは月曜休館)
拝観料 無料

大堂 主教座堂 (大堂 カテドラル)
住所 大堂前地
開館時間 7:30~18:30
休館日 なし
拝観料 無料

大三巴牌坊 (聖ポール天主堂跡)
住所 耶蘇會紀念廣場
開館時間 9:00~18:00(天主教芸術博物館・地下納骨堂)※天主堂跡は外から見学するのみ
休館日 なし(天主教芸術博物館・地下納骨堂)
入館料 無料(天主教芸術博物館・地下納骨堂)
(裏側地下には、宗教美術品、キリシタンの骨が眠る地下納骨堂がある)

崗頂劇院 (ドン・ペドロ5世劇場)
住所 崗頂前地
開館時間 10:00-18:00
休館日 火曜日
入場料 無料

聖老楞佐教堂 (聖ローレンス教会)
住所 風順堂街
開館時間 10:00~16:00
休館日 なし
拝観料 無料

聖約瑟修道院及聖堂 (聖ヨセフ修道院および聖堂)
住所 三巴仔横街
開館時間 10:00~17:00(修道院は見学不可、聖堂のみ見学可)
休館日 なし
拝観料 無料

媽閣廟
住所 媽閣廟前地
開館時間 7:00~18:00
休館日 なし
拝観料 無料

鄭家大屋 (鄭家屋敷)
住所 亞婆井前地龍頭左巷
開館時間 10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日 水曜
入館料 無料

聖方濟各聖堂 (聖フランシスコ・ザビエル教会)
住所 路環意度亞瑪忌士廣場
開館時間 9:30~17:00
休館日 なし
拝観料 なし

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
トラベルライター。マカオをはじめとするアジア、中米を中心に取材。テーマは、ネイティブの暮らしやローカルフード、リゾート、ホテルなど。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビ、雑誌などで発信中。トラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(著・花津ハナヨ  文藝春秋)では、女流漫画家の花津ハナヨ氏と共にマカオを歩き、女性視点のユニークなマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。www.serizawa.cn

Column

芹澤和美の香港・マカオ 時の流れを超える旅

マカオをはじめとするアジア、中米を中心に取材するトラベルライターの芹澤和美さんが、昔の姿を残しながらも近年急速に発展する街・マカオ、そしてエキゾチックな香港の魅力を紹介します。

2012.12.13(木)