マカオといえばカジノや世界遺産と共に、必ず紹介されるのがポルトガル料理だ。マカオはかつてポルトガルの植民地であったため、数多くのレストランが街中に点在している。世界遺産を見学して、ポルトガル料理を楽しむのがマカオ観光の定番といえる。

 16世紀からポルトガル人が住み始め、19世紀に植民地化、1999年に中国に返還された後も多くのポルトガル人がマカオに残り、植民地色が消えて中国化するどころか、逆に新しいポルトガルレストランが増えている。

店内 旧ロブションを活用

 中国マカオにとってポルトガルの名残りは、重要な観光資源なのだろう。

 これまでマカオのポルトガル料理の多くが庶民的で、長期にわたって中国系観光客を相手にしていたため、彼等の味覚に合わせて現地化してしまった店も少なくないのが残念だったが、今年1月にアジア初のポルトガル料理のファインダイニングGuincho a Galeraが、ホテル・リスボア内にオープンした。

シェフ Martinho Moniz

 リスボアといえば、タワーに移動したRobuchon au Dôme、The 8、Tim's Kitchenがいずれもミシュランで星を獲得し、カジノと共に食に大変定評のあるホテルだ。そんなホテルが、街中にあるポルトガルレストランを、今あえて施設内に開くのだから期待せずにはいられない。

 Guincho a Galeraはリスボン近郊のリゾート地、カスカイスにある老舗レストランFortaleza do Guinchoが海外に初めて進出したもので、本国ではミシュランで星を獲得している。また、シェフMartinho Monizは、わずか26歳にして首都リスボンのトップ、全ポルトガルで2位の評価を受けた腕前を持つ。

 本店のメニューはフランス料理の影響がみられるが、マカオ店では上質な材料を使った伝統的ポルトガル料理に徹し、メニューにはカルド・ヴェルデ、サックリング・ピッグ、カタプラーナ、ダック・ライスなど、ポルトガル各地の代表的な料理がずらりと並ぶ。

<次のページ> マカオの新鮮な食材が活きる贅沢料理

text&photographs by:Miyuki Kume