アイテムやジャンル、素材に特化したユニークなお店が増えてきました。たとえば、これまでにご紹介した燻製のお菓子のお店やどらやきの専門店、リンゴづくしのカフェなどなど。
今回、ご紹介するのは、珍しい「栗マロンかぼちゃ」の専門店、東神戸・御影にある「Zucca FINE VEGETABLE & DELI(ズッカ ファイン ベジタブル アンド デリ)」です。
お店があるのは、阪急神戸線御影駅から徒歩約3分の閑静な住宅街。山手幹線沿いで一際目を引く白い建物です。デッキに置かれた大きなかぼちゃが目印。
店内に入ると、大きなショウケースとその周りにデリとスイーツがずらり。そのすべてが栗マロンかぼちゃを使った商品なのです。
「Zuccaとは、イタリア語でかぼちゃという意味。栗マロンかぼちゃは、30年前、北海道の栗山町で栽培され始め、栗のようにホクホクおいしいことから、その名で呼ばれるようになりました」とオーナーの佐藤一さん。
北海道では、ピークには90軒余りが栽培していましたが、いつしか30~40軒の仲間内だけで栽培されるようになった貴重な品種。
現在、栗マロンかぼちゃを栽培するのは北海道と九州の70軒余りだけ。
というのも、栽培がとても難しく、収穫量はエビス南瓜の半分程度しかありません。幻のかぼちゃ、農家泣かせとも言われているのだそう。
「こだわりたっぷりに、熱い情熱をかけて作られる栗マロンかぼちゃはとびきりおいしいんです」と佐藤さんはにっこり。
卸売市場の仲卸として働いていた父親が扱い始めた希少な栗マロンかぼちゃに佐藤さんも注目し、10年前から本格的にPRに努め始めます。
そして、「消費者においしさを直接伝えたい」と、2015年にデリやスイーツを販売する実店舗をオープンさせました。
「6月から11月が、栗マロンかぼちゃがおいしい時期。でも、それ以外の季節にもおいしく食べてほしい」
製法は、完熟で収穫された栗マロンかぼちゃをさらに約1カ月熟成。一番おいしいタイミングで90~95℃で蒸し上げて、冷凍。
カットとペースト、どちらも砂糖も水分も加えていない、完全無添加なんだとか。
「それぞれを販売するだけでなく、様々なデリ=お総菜とスイーツを作り、1年中、そのおいしさを食べて実感してもらうためのお店なんです」と佐藤さん。
スタイリッシュでナチュラルな店内に並ぶデリとスイーツは、毎日約15種類。もちろん、すべて栗マロンかぼちゃを使ったもの。
デリは、「栗マロンかぼちゃのサラダ」(350円~)や「栗マロンかぼちゃのラザニア」「栗マロンかぼちゃのグラタン」など。そんなデリを詰め合わせた「かぼちゃづくしのランチボックス」(750円)が大人気。
ドリンクやスープとのセットを、2階のイートインコーナーで食べるお客さんが多いのだとか。
スイーツとドリンクを注文して、入口横のデッキでひと休みするワンちゃんの散歩途中のお客さんや、お目当ての商品をテイクアウトする常連客も次々に来店。住宅街のお店らしい賑わいです。
2019.03.10(日)
文・撮影=そおだよおこ