■星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル
(後篇)
国内のみならず海外に至るまで、さまざまなロケーションに魅力的な施設を展開する星野リゾート。その星野リゾートが、今、特に力を入れているのが「ウェルネス」です。
この連載では、バラエティに富んだアクティビティ、そしてオーガニックな食事などが楽しめる、ヘルスコンシャスなステイを各地からご紹介します。
十和田八幡平国立公園で
冬限定の感動的絶景を
積もった雪は厳しい寒さと同時に、感動的な風景をもたらす。
「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」が位置するのは、まさに豪雪地帯。周辺には、八甲田山の樹氷や奥入瀬渓流沿いの氷瀑など、この地域でしか見ることのできない貴重な景色が点在している。
この立地を生かしたのが、冬季限定のアクティビティだ。真っ白に染まった十和田八幡平国立公園は、たちまち雄大な遊び場に変わる。
冬のアクティビティというと、特別な装備が必要、体力や運動神経が必要というイメージがあるが、気軽に参加できるものも用意されているからご安心を。
夜に行われているのが、「氷瀑ライトアップツアー」。氷瀑(気温が下がり滝が凍る自然現象)を美しい光の中で眺める、約1時間のナイトツアーだ。出発の1時間前まで申し込み可能なので、その日の気分で参加を決めることができる。
ライトアップといっても、テーマパークのようなキラキラ感はない。参加者が乗るバスに照明機材を載せた車が同行し、見学するときだけ氷瀑に照明を当てる、自然に優しい演出だ。
訪れるのは、「馬門岩(まかどいわ)」「千筋(せんすじ)の滝」「三乱(さみだれ)の流れ」の3カ所。いずれも有名な景勝地だが、緑の季節しか知らない人は、きっと冬化粧の美しさに驚くはず。
一番の見どころは、渓流の両側に聳える断崖、「馬門岩」。気温が下がると、岩から染み出るわずかな湧き水が少しずつ固まって岩に重なり、真冬には立派な氷柱に成長する。
バスから参加者全員が降りたら、さっそくライトアップ。照らす光の色は、その場所の特徴に合わせたものが選ばれる。
「馬門岩」は青。闇夜にうっすらと浮かび上がる青白い氷柱は、妖艶な光を放ち、氷の奥深い世界を物語っているかのよう。
「千筋の滝」は、水量が少なく夏は少々迫力に欠けて見えるが、氷瀑となる冬は一転、ダイナミックに。
「三乱の流れ」では、雪をかぶった大きな岩の間を流れるせせらぎを光が染め、神秘的な雰囲気を醸し出す。
こんな自然の造形美は、このツアーに参加した人しか、知ることができない。
2019.02.24(日)
文=芹澤和美
撮影=佐藤 亘