#167 Amilla Fushi
アミラフシ
(モルディブ)

ユネスコの生物圏保存地域であるバア環礁の北東に位置する1島1リゾート、アミラフシ。地元のディベヒ語で“マイ・アイランド・ホーム”という名のこの島は、一見リゾートっぽく見えないのが印象的です。

すべて独立型の60の客室は、“ヴィラ”ではなく、“ハウス”と呼びます。
たとえば水上コテージといえば、ヤシの葉で屋根を葺いた南国風のたたずまいをイメージしがちですが、アミラフシは「あれ?」と意表を突かれる感じ。白一色に染められた、潔いほどの直線を生かしたボックス型をしています。

都会的な印象を受けますが、実は、モルディブの伝統的な建物のつくりをモチーフにしています。
サンゴの岩で作られた昔ながらの住居は、四角い箱型で、屋根はフラット、ミニマルなデザインが特徴。それを現代流に解釈したのが、アミラフシのハウス。
そして室内に入れば、ゆったりとしたスペースとたっぷり降り注ぐ光、そして周囲の自然と溶け込んだデザイン。
家にいるようなくつろぎを覚える、モルディブの新たなるラグジュアリー・スタイルを提案しているのです。


デザインを担当したオーストラリア人建築家は、これまでリゾートをデザインしたことはなく、個人住宅のみ。だから、リゾートホームのような雰囲気が醸し出されているのかもしれません。
2019.02.16(土)
文・撮影=古関千恵子