#146 The St. Regis Maldives Vommuli Resort
セントレジス・モルディブ・ヴォンムリリゾート(モルディブ)

遠い環礁へは水上飛行機を利用して渡ります。移動中も眼下に環礁の絶景が広がり、それも醍醐味のひとつ。

 およそ1200の島々からなるモルディブにおけるステイスタイルは、ひとつの島を丸ごとリゾートにした1島1リゾートが基本型。

 ここ数年、ファミリー向けやミレニアル世代向けの比較的リーズナブルな選択肢も増えましたが、ハネムーンとなればやはりラグジュアリーリゾートが気になるところでしょう。

ダール環礁にオープン。東京ドーム2個分、9ヘクタールの島です。
さらさらの白砂とアイスブルーのラグーン。ザ・モルディブな風景です。

 2016年11月、ダール環礁にオープンしたセントレジス・モルディブ・ヴォンムリリゾートは100年以上の歴史を誇る名門中の名門ホテルグループの一員です。

メインのインフィニティプールは452平方メートル。ヴィラにおこもりするゲストが多いせいか、混雑とは無縁です。
スパ内の温水・海水プール。水流マッサージが身体をほぐし、ハウスリーフの眺めが心を癒してくれます。

 1904年にニューヨークに第一号となるホテルを開業した創業者はジョン・ジェイコブ・アスター4世。のちにタイタニック号の沈没事故に巻き込まれ、妻と看護師を救命ボートに乗せた後に消息を断つという数奇な運命をたどった方です。米国でも指折りの資産家に生まれた彼は、型破りな発想が耳目を集める、時代の寵児的な存在でした。

 彼が手掛けた第一号のセントレジス・ニューヨークは、上層階級をターゲットに絞り、まるでアスター家へ招かれたようなもてなしが評判になりました。その時生まれたのが、卓越したバトラーサービスです。

 モルディブのセントレジスにおいても、伝説のバトラーサービスは受け継がれています。国際空港から国内移動の水上飛行機の乗り場へ移動するベントレーの車中で、おもてなしは始まります。ドライバーから渡されるのは冷たいおしぼりと、タブレット端末。動画の中で担当バトラーが笑顔で歓迎の挨拶と自己紹介を行います。待合室もリゾート専用です。

2018.04.07(土)
文・撮影=古関千恵子