都市部においても森や海が人々の身近にあるデンマーク。多くの美術館が自然を取り入れた環境をテーマにしている。元富裕層の邸宅、王室の離宮、著名女性作家の生家など、異なる年代の建物や庭でアートを身近に感じたい。


デンマークの国民的画家の
レアな作品も展示

●ザ・ダヴィッド・コレクション

【キャンバスの裏に描かれたレアな作品!】
ダヴィッド氏が生前、熱心に集めた14点のハンマースホイの絵画のなかで、特に注目したいのは、白い椅子に座った女性を描いたもの。表側には《編み物をする女性、画家の母親》(1889年)が描かれている。習作として裏面にペイントしたもので、正式な作品とはいえないかもしれないが、購入後に発見されたというから、興味深い。/ヴィルヘルム・ハンマースホイ 《白い椅子に座る女性》1899-1900年制作。

 弁護士で実業家でもあったC.L.ダヴィッド氏の自宅を改装し、彼が集めたヨーロッパ近代絵画やイスラム工芸品の美術館として1960年に開館。

ダヴィッド氏の居間を再現した展示室。

 集合住宅の一角とはいえ、かつてのデンマーク王室の夏の離宮、ローゼンボー城の広大な庭園「王様の庭」が目の前で、都市にいながら自然を身近に感じるロケーションだ。

象牙に細工を施し、ブロンズ箔で仕上げた小箱。《スペイン、コルドバ, No.5/2002》(966-968年頃)。

 ダヴィッド氏の死後は運営財団の方針でイスラムアートの所蔵品を増やし、世界レベルのコレクションで国内外に知られるようになった。

 それ故、その他のジャンルについてはあまり語られる機会がないが、美術館2階の彼の居室は生前のままに残されており、そこに並んだ家具や手工芸品、デンマークをはじめとしたヨーロッパ近代絵画のコレクションは通好みだという。

膨大なコレクションを誇る、イスラムアートの展示室は、「デンマーク近代家具の父」といわれる巨匠建築家、コーア・クリントの設計。

 特に日本でもファンの多い、ヴィルヘルム・ハンマースホイの作品を集めた展示室は必見だ。

 19世紀末から20世紀にかけて活躍したデンマークを代表する国民的な画家のレアな作品を観ることができる。

ザ・ダヴィッド・コレクション

所在地 Kronprinsessegade 30, København K
電話番号 3373 4949
開館時間 10:00~17:00(水曜 ~21:00)
休館日 月曜、12月23~25日、 31日、1月1日
入館料 無料
http://www.davidmus.dk/

Feature

美しい美術館の宝庫
デンマークでアート体験

Text=Chieko Tomita
Photo=Atsushi Hashimoto

この記事の掲載号

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在は異なる場合があります。