コンテンポラリーアートが根付きにくいと言われるローマ。

 人々が保守的だという理由もありますが、ローマにある遺跡や芸術があまりに偉大過ぎて、現代アートの入り込む余地がないのだと思います。

 ですが、そんな状況の中でも新しい試みは多少なりとも行われています。そのひとつが「マクロ・アジーロ(MACRO ASILO)」です。

ペローニ社のビール工場跡地を利用して設立されたマクロ。メインエントランスは当時のままの姿が残されている。

 地元ローマでは「マクロ(MACRO)」の略称で知られるローマ現代アート美術館(Museo d'Arte Contemporanea Roma)の建物は1971年までイタリアを代表するビール、ペローニ社の工場として機能していましたが、20世紀初頭の優れた工業建築物を保持する目的で工場閉鎖後はローマ市へ引継がれ、美術館として活用されることになりました。

 その後、数年に渡る修改築を経て、2010年、フランス人建築家オディール・デックによって同美術館は現在のモダンでユニークな空間へと生まれ変わりました。

吹抜けになっている広々としたホワイエ。
メインエントランスの反対に面したレッジョエミリア通り(Via Reggio Emilia 54)からも館内へのアクセスが可能。
ホワイエの階段を上がるとちょうど正面がバールになっている。
天井が高くてゆったりくつろげるバールはひと休みに最適。

 立派な箱が完成し、企画展も盛んに開催され、当初は人の往来が多かったものの、その後、来館者は減少の一途を辿ることに。

 地元の人々はともかく、バチカン美術館やコロッセオなどの誰もが知る名所が目白押しのローマで旅行客を呼び込むのは至難の業。

常設展となっている1Fの広大なスペース。
迷路のような通路が巡っている2F。中央は赤一色に染められた多目的スペースになっている。
基調色となっている明るめの赤は女性用のトイレにもしっかりと生かされている。

文・撮影=村本幸枝(アッティコ)