2時間ドラマ版「アベンジャーズ」

速水 僕はかつて脚本のスクールに通っていたことがあるんですけど、それは2時間ドラマやりたいなって思ってたんですよ。ちなみに当時考えてたアイデアは、いろんな2時間ドラマの主人公が集結する、マーベルで言う「アベンジャーズ」みたいなやつなんですけど、冬の時代の今だからこそ、それは可能だったりしません?

大野 実は、単発ではあるんですよ。片岡鶴太郎さんの森村誠一原作「終着駅」シリーズの牛尾刑事と小林桂樹さんの「牟田刑事官事件ファイル」シリーズの牟田刑事官と水野真紀さんの「事件記者冴子の殺人スクープ」シリーズの川村冴子が登場する合体作品とかは、土ワイで実現しています。

速水 そんな企画あったんですか。ワンポイントで捕まえたタクシーの運転手が渡瀬恒彦だったり、泊まった宿の女将が東ちづるだったりしたら超豪華ですよね。

大野 原作者が異なるシリーズを合わせるのはいろいろ難しそうですけど。

速水 もしくは時代に即したものをもう一度作るか。

大野 西村京太郎さんが言っていたんですけど、新幹線とか鉄道が高速化して車両が密室化すると、窓から死体を投げたりとか、昔はできたことができなくなった。

速水 窓から身代金を投げたりするのは定番でしたけど、新幹線ではできないですね。はめ殺しになっちゃってて。

大野 昔みたいな複雑なダイヤも新幹線時代にはシンプルになってしまってます。

速水 鉄道のトリックはなかなか難しい時代になっているのか。

大野 それとどんな奇抜な犯罪を思いついても、携帯電話、スマホ時代には通用しなかったりもしますよね。

速水 スマホで録画されて配信されちゃったりしたら犯人もやってられないですね。

大野 時代が進化すると、それに合わせて原作を産み出すのも限界はあるでしょう。

2018.10.23(火)
構成=速水健朗
撮影=深野未季
写真=文藝春秋