阪神電車の鳴尾駅から南へ徒歩9分余り。閑静な住宅街で一際目立つ卵色をした建物。外壁には笑顔が描かれた家型のマークと「Studio Sajinoie」のロゴ。佐治まゆみさんが営むパンと手作りスイーツのお店「Sajipan(サジパン) 販売所&カフゑ」です。
木のドアの横には、対面販売の窓口。
「子供連れのお母さんが、荷物を持ったままトングとトレイでパンを選ぶのはとてもたいへん。手はつなげないし、子供がパンを触ったりしないかとヒヤヒヤするし。対面式で、ササッと買えたらうれしいだろうと思って」
2児の母親でもある佐治さんの細やかな気遣いがお店の造りにも表れています。
常時15~20種類の見本から、ガラス越しに子供と一緒にあれこれ選んでパンを購入。そのためにショーケースの高さを子供の目線と同じにしているのだそう。犬の散歩の途中に立ち寄ったり、自転車を停めて手早くパンを買って帰ったりする常連客も多い。
佐治さんは、西宮市出身。専業主婦でしたが、2010年から自宅や集会所などでパン教室を始めました。
「ここは、私が生まれ育った場所。祖父母が残してくれた土地を活用したいと思って、パンの販売所とカフェ、教室とフリーに使えるスタジオにし、Studio Sajinoie(スタジオ サジノイエ)として2017年に開業しました」
2階のイートインカフェスペースは17席。小さな子供がぶつけても大きなけがのないようにと、角を丸くしたオーダー家具がゆったりと配されています。ドアを開けて靴を脱いでからオーダーして2階へ持って上がる、気取りのないセルフスタイル。
「お客様にいらっしゃいませ! とお声がけすると、おじゃまします! という方が大半。自分の実家やお友達のお家のように寛いでほしい」と佐治さんはにっこり。
ドリンクを注文してパンをゆっくり味わうことができます。自家製のジェラートやプリン、ランチセットもあります。
1階奥には、家庭用電気オーブン6台、発酵機3台完備のキッチンスタジオがあり、佐治さんのパン教室が開かれます。3階のサロンスタジオは、ヨガ、ベビーマッサージ、オカリナ、お料理など、様々な教室や集まりの場として利用されています。
2018.09.30(日)
文・撮影=そおだよおこ