加賀の伝統工芸を楽しむ観月茶会

◆星野リゾート 界 加賀

 山代温泉は、約1300年前に行基という高僧が霊峰白山への修行に向かう途中で発見したと伝えられる歴史ある湯。とろりとした泉質のため古くから“美人の湯”と称され、肌を滑るやわらかな湯の心地よさが特徴だ。

 そんな山代温泉の湯をとっぷりと堪能できる「星野リゾート 界 加賀」ではこの秋、“観月茶会”を開催している。

 昨年からはじまった“観月茶会”は、金箔国内生産量の9割を誇る金沢金箔で化粧を施した、特製のランプを月に見立てて愛でる茶会のこと。

 茶会では、菊を用いて不老長寿を願う重陽(ちょうよう)の節句にちなみ、金箔栗ぜんざいと山代温泉のこだわりの地酒「菊酒」が、山中漆器の酒杯や小椀で振る舞われる。

 また加賀地方には、江戸時代に心優しき役人が傷ついたうさぎを助けたことで、夜空に月が輝き大豊作に恵まれたという言い伝えがあり、この「加賀の月うさぎ伝説」の紙芝居が茶会の席で披露されるのも、この土地ならではの趣向といえる。

 金沢金箔を散りばめ月を模した特製のランプ、館内の随所に配された月うさぎの影絵があしらわれた行灯の灯り……。

 古来、日本人が愛する月見という文化を、加賀ならではの伝統とともに。しっとりと心静かに月夜に想いを馳せ、非日常へと誘われる滞在をぜひ。

星野リゾート 界 加賀

所在地 石川県加賀市山代温泉18-47
電話番号 0570-073-011(界予約センター)
https://kai-ryokan.jp/kaga/

文=立花奈緒(ブレーンシップ)