Magnificent View #1397
ショーモン・シュル・ロワール城(フランス)

(C)Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 ロワール川を望む高台に建つこの城は、10世紀に要塞として建てられた。1455年、ルイ11世に火を放たれ焼失したこともあるが、後に再建されている。

 16世紀中盤にこの城を所有していたのは、アンリ2世の妃カトリーヌ・ド・メディシス。彼女は夫の愛人、ディアヌ・ド・ポワティエをシュノンソー城から追い出し、この城に住まわせた。これは、美しいシュノンソー城を取り戻すためだったと言われている。

 城はしばらくポワティエ家が所有していたが、1594年に彼女の孫娘が亡くなると、運命は暗転。 次々と人の手を渡り、あるときは借金のかたに取られ、あるときは亡命者の隠れ家となった。

 1875年、城を買い取った大富豪の孫娘のマリー・セイが、豪華な厩舎と英国式庭園を造成。厩舎にはオペラ座やパリ市庁舎と同じアーク型の電灯が使われ、当時、ヨーロッパでもっとも豪華な厩舎と言われたという。ところが、1929年にマリーの実家は破産。1938年、国に買い取られた。

 たびたび変わる城主たちに翻弄された美しき城。今は歴史的建造物として人気の観光地となり、年間35万人以上が訪れている。

Column

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2018.05.20(日)
文=芹澤和美