Magnificent View #1383
アンボワーズ城(フランス)

(C)Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 ロワール川を見下ろす小高い丘の上に立つアンボワーズ城。もとは中世に造られた要塞だったが、15世紀末から16世紀前半にかけて、国王でもあった3代の城主により豪華な城に改装された。

 なかでも、この城に深い愛着を持っていたのがシャルル8世。1494年のイタリア遠征時に芸術に目覚めた彼は、戦利品とともに有名な建築家や彫刻家、造園師を連れ帰り、彼らに城の増改築を命じた。

 ちなみに、シャルル8世は鴨居にうっかり頭をぶつけたことが原因で亡くなったという。情熱を捧げた城で事故死とは、なんとも皮肉な話である。

 2代後のフランソワ1世の時代になると、多くの知識人や芸術家が集い、城はいっそう華やかさを増す。1516年には、レオナルド・ダ・ヴィンチも招聘され、城と地下道でつながる館に暮らした。

 こうして優雅な時代を築いたアンボワーズ城も、18世紀後半のフランス革命で、大部分が取り壊されてしまう。

 現在は、世界遺産に登録され人気の観光スポットに。美しい庭園からロワール川を見下ろせば、城を愛した歴代王たちの気分が味わえるかもしれない。

Column

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2018.04.02(月)
文=芹澤和美