山から注がれる豊富なミネラルを含む海水と強い潮の流れで育まれ、身が締まり味がのる瀬戸内の海の幸。フグやワタリガニ、赤舌平目、カサゴ、イイダコといった寒さが増す冬が旬となる魚介もまた、瀬戸内旅の醍醐味だ。ひと皿ごとに瀬戸内の豊かさを実感せずにはいられない口福の時を。
» 第1回 広尾の名イタリアンが瀬戸内に移転! 「acca」の魚介料理は感動必至
» 第3回 アタックの強い料理で瀬戸内が美食の地と実感
» 第4回 生まれ変わった空間で地産地消の恵みに舌鼓
いい店の手本を見るような
ワインと料理と雰囲気と
◆BISOU(ビズー)
 上はラムの水餃子、“マントゥ”1,100円。“カサゴのスパイス煮”は魚の大きさにより1,800~2,000円。旬野菜と魚介をマサラで軽く煮た。
上はラムの水餃子、“マントゥ”1,100円。“カサゴのスパイス煮”は魚の大きさにより1,800~2,000円。旬野菜と魚介をマサラで軽く煮た。
尾道の商店街の東端に夜な夜な賑わう小箱がある。
「たまたま来た尾道をいっぺんで気に入って」と妻の久美子さんの一目惚れをきっかけに、尾道に暮らし始めた岡本夫妻が店を切り盛りする。夫の真人さんが作るのは肩肘張らないビストロ料理。
 クミン入りベニエ生地で揚げた“太刀魚のフリットと赤玉ネギ” 1,400円
クミン入りベニエ生地で揚げた“太刀魚のフリットと赤玉ネギ” 1,400円
「東京ではメニューありきで作っていましたが、今は地方の強みを生かした素材優先の料理を」と、県内で手に入る魚介や肉、三原や福山の無農薬や有機栽培の野菜を中心に使い、スパイスでアクセントをつける。
 料理やワインと共に、店の心地よい賑わいを作る久美子さんの笑顔。
料理やワインと共に、店の心地よい賑わいを作る久美子さんの笑顔。
イメージはパリの移民系料理人の店だという。小ぶりな皿に、ぎゅっと盛り付けられているのもそそる姿。匙加減は絶妙で、どれもワインを誘う味だ。
 左:メニューは鏡に手書きで。
左:メニューは鏡に手書きで。右:ワインはナチュール。ボトルで5,000~6,000円ほどが中心。
BISOU(ビズー)
所在地 広島県尾道市久保2-5-24 
電話番号 0848-38-9700
営業時間 16:00~22:00(L.O.)
定休日 日・月曜
カード 不可
https://www.bisouonomichi.com/
 
撮影=福森クニヒロ
取材・文=大和まこ