ベルギーとオランダでは、旅行者でも気軽に現地で自転車をレンタルし、サイクリングを楽しむことができます。素敵な街並み、美味しいレストラン、そしてゴッホゆかりのスポット……。たかせ藍沙さんが、この2つの国を気ままに散策する旅に出ました。
第8回は、ゴッホ美術館で名画を鑑賞し、その後はオランダ料理を堪能、さらにはサイクリングで街を散策と、オランダの首都アムステルダムをたっぷりと楽しみます。
ゴッホの人生を辿った旅の
終着点はゴッホ美術館
ベルギーからオランダに移動してからは、ゴッホにゆかりのある街を巡って来た。生まれ故郷のズンデルト、画家として歩み始めたヌエネン、そして、絵画を光で模したサイクリングロードがあるアイントホーフェン、世界2位のゴッホコレクションが揃うクレラー・ミュラー美術館があるオッテルロー。
そして、最後は、世界最大のゴッホ作品のコレクションを誇るゴッホ美術館があるアムステルダムだ。折しも、東京では「ゴッホ展」が開催されている。
ゴッホ美術館は、アムステルダム中心街の南西にある。アムステルダム国立美術館やアムステルダム市立美術館が並ぶ一角だ。
1973年にオープンした本館は、オランダ人建築家ヘリット・リートフェルトの遺作。1999年には日本の黒川紀章が設計した新館がオープンし、2015年にはガラス張りのアトリウムが心地いい、新エントランスがオープンした。絵画とともに建物も鑑賞したい。
ゴッホ美術館は、もともとゴッホの遺族が所有していた油絵200点、素描500点あまりを所蔵している。分散させたくないという遺族の希望もあって開館した。ほかにも同時代のロートレックやゴーギャン、ゴッホに影響を与えた浮世絵などが展示されている。
ヌエネンで見た牧師館、じゃがいも農家のあった場所を思い出した。そこで描かれた絵がここに展示されていた。まるでゴッホとともに旅してきたような錯覚に陥った。
右:アルル時代に描いた『ひまわり』。
とくに印象的なのは、日本の浮世絵に影響を受けた後にアルルに移り住んで描いた作品。ゴッホはアルルを「日本のようだ」と思ったという。自然の中で描かれた大胆な構図と鮮やかな色彩は、ヌエネンの風景や市井の人々の絵画とはまるで違う。
右:パリで最後に描いた自画像『画家としての自画像』。弟テオの妻ヨハンナが、ゴッホ本人にもっとも近いと思ったという絵だ。東京の「ゴッホ展」で見ることができる。
今回の旅のルートはゴッホを理解する上でこの上ないルートだった。パリやアルルにも行ってからここに戻ると、さらに違う印象を受けるかも知れない。画家の人生を辿る旅の素晴らしさに感慨ひとしおだった。
Van Gogh Museum(ゴッホ美術館)
所在地 Museumplein 6, 1071 DJ Amsterdam
電話番号 020-570-5200
http://www.vangoghmuseum.nl/en
『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』
会場 東京都美術館(東京・上野)
会期 2017年10月28日(土)~2018年1月8日(月・祝)
料金 一般1,600円(税込)ほか
電話番号 03-5777-8600(ハローダイヤル)
http://gogh-japan.jp/
※2018年1月20日(土)~3月4日(日)、京都国立近代美術館へ巡回
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2017.12.08(金)
文・撮影=たかせ藍沙