滞在するホテルが旅のスタイルを導くフィレンツェ。温かなホスピタリティでゲストを迎える名門をご紹介する。

» 第1回 リゾートの魅力を深めた華麗なる名門ホテル
» 第3回 絶好のロケーションに建つクラシックホテル

ラグジュアリーな邸宅仕立ての
空間でゆっくりとくつろぐ

◆J.K. Place Firenze
(JKプレイス・フィレンツェ)

サンタ・マリア・ノヴェッラ広場には、カフェやバーとして利用できるテラスを張り出す。
リビングとベッドルームが一続きとなる「JKマスタールーム」。窓の外にはサンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂が。客室の眺望、ウェルカムフルーツや花、ミニバーなどについてのリクエストは可能な限り受け付ける。

 ラグジュアリーな邸宅仕立ての空間を楽しみ、知人の家に招かれたようなサービスにくつろぐ。フィレンツェで今、最も話題を呼ぶホテルのスタイルだ。それは「JKプレイス」から始まった。

 2003年、ホテルはサンタ・マリア・ノヴェッラ広場にオープン。地元出身のデザイナー、ミケーレ・ボナンさんが手がけた革新的なデザインにより、一躍、世界の脚光を浴びる。

 20室と抑えられた客室数や贅沢なパブリックスペース、パーソナルなサービスも評判に。そして、ファッショナブルなホテルはセレブリティの隠れ家としても知られるようになる。

左:エントランスに並ぶパブリックラウンジ。時代をミックスしたデザインは今も新鮮。
右:館内には古代から現代までのアートを飾る。家具の多くはオリジナル。
左:このフロアはラウンジのひとつだが、レストランやバーとしても利用されている。食事はソファでゆったりと。
右:最上階の客室「ペントハウス」のバスルームからは花のドゥオモが眺められる。

 後を追うホテルが絶えない今、JKプレイスの深化も留まることはない。過去と未来、高揚と落ち着きが交錯する館内は、より親密な雰囲気を漂わせるようになった。細部まで行き届くフィレンツェの伝統工芸も、温もりある手触りをもたらしている。

撮影=小野祐次
取材・文=上保雅美
コーディネイト=大平美智子