旅情を誘うポウサダ風のスモールホテルに泊まる

ポルトガルの雰囲気に包まれたホテル「ポウサダ・デ・モンハ」。壁のアズレージョが旅情を誘う。

 マカオにはたくさんのホテルがあって、ここ数年は世界ブランドの5ツ星ホテルも続々登場している。有名なラグジュアリーホテルにも惹かれるけれど、マカオらしさにこだわるのなら、ポウサダ風のホテルを体験してみたい。

 「ポウサダ」とは、修道院や貴族の館などを改修し、もとの建築様式を生かして建てられたポルトガルの宿泊施設のこと。ここマカオに本物のポウサダはないけれど、雰囲気を存分に楽しめる3軒のポウサダ風ホテルがある。

「ポウサダ・デ・モンハ」の館内はポルトガルの風情たっぷり。場所は観光客で賑わうセナド広場からはやや離れているけれど、近隣にはローカル向けのショップやレストランが並び、とても便利なロケーションにある。

 「ポウサダ・デ・モンハ」は、街の喧騒が届かない緑豊かなモンハの丘に立つホテル。観光専門学校に付属する実習用のホテルということもあり、あまり話題にはならないけれど、ポルトガル風情はたっぷり。

 実習用といっても、快適に泊まるには十分な設備が整っているし、サービスも申し分ない。ときおり、緊張しながらも懸命に接客してくれる学生さんを見かけるのも、それもなんだか微笑ましい。

朝は隣接するレストラン「教学餐庁」で、フレッシュジュースと洋食ブッフェの朝食を。丘の上にあって街の喧騒とも無縁だし、大型ホテルのようにゲストで混み合うこともなく、1日の始まりを気持ちよく迎えられる。

望厦賓館(ポウサダ・デ・モンハ)
所在地 望厦山
電話番号 02851-5222
http://www.ift.edu.mo/EN/Pousada/Home/Index/240

大砲が残るエントランスを入り、洞窟のような階段を昇って「ポウサダ・デ・サンチャゴ」の館内へ。ほのかな灯りに照らされた壁面には、岩盤から湧き出る水が静かに流れている。

 「ポウサダ・デ・サンチャゴ」は、17世紀にポルトガル軍が築いた要塞を改装したスモールラグジュアリー。エントランスから洞窟のような階段を昇りレセプションにいたるアプローチなど、独特の趣で楽しませてくれる。

 わずか12室の客室はすべてがスイート。マホガニーの家具やアズレージョがあしらわれた部屋にいると、中世に時代を遡ったかのような気分になる。南国の樹が繁る中庭のプールでくつろぐ午後や、内湾に沈むサンセットをテラスで眺める夕暮れどきは、格別の時間だ。

樹齢100年の樹木が繁る庭は、迷路のように入り組み、要塞だった頃を彷彿とさせる。

澳門聖地牙哥古堡酒店(ポウサダ・デ・サンチャゴ)
所在地 西湾民国大馬路
電話番号 02837-8111
http://www.saotiago.com.mo/

 半島の中心地から車で30分ほどのコロアン地区は、かつて離島だった頃の名残を残す自然豊かなエリア。「ロード・ストーズ・ベーカリー」の有名なエッグタルトを求める観光客で賑わうコロアン村から竹湾ビーチまで足を延ばせば、隠れ家のようなポウサダ風ホテルがある。

リピーターに愛される「ポウサダ・デ・コロアン」は、客室数28室。マカオで唯一無二の環境にあるスモールホテルだ。

 「ポウサダ・デ・コロアン」が立つのは、眼下に南シナ海、背後には九澳山が迫る自然豊かな環境のなか。アズレージョで彩られたこぢんまりとしたプールや、ポルトガルの調度品を置いた部屋は、田舎の小さなリゾートホテルといった感じだ。

規模は小さいけれど、野鳥の声が聞こえるプールや、ポルトガル料理が楽しめるレストランもある。

 「ポウサダ・デ・コロアン」からコロアン村までは約1キロ、世界遺産のある半島部の中心地までは車で30分と、アクセスは不便。でも、だからこそ、旅情に浸れるというもの。夜は波の音を聞きながら眠りにつき、朝は野鳥の声で目覚める。そんなゆるやかな時間が、ここには流れている。

アンティーク風の家具が置かれた客室は、レトロな雰囲気。

竹湾酒店(ポウサダ・デ・コロアン)
所在地 路環竹灣海灘旁
電話番号 02888-2143
http://www.hotelpcoloane.com.mo/

2016.12.07(水)
文・撮影=芹澤和美