トロントでもっとも空に近い場所へ

ハーバーフロントには遊歩道や広場、レストランなどがある。天気がいいとほんとうに気持ちいい!

 カナダの東南部にあるオンタリオ州は、首都のオタワと、カナダ最大の都市トロントを有するカナダの政治経済の要だ。

 その経済発展の理由のひとつは、アメリカに突き出したような形で国境を接していること。国境線の大半は湖の中央にあり、五大湖を挟んだ対岸がアメリカという地理的条件から、車や鉄道だけでなく、船も使って大量の物資をアメリカに輸出している。大型工場を建設するために充分な土地があることも強みのひとつだ。

 今回の取材の目的は、飲料・食料産業だけれど、まずは、トロントの街を歩いてみた。

 まず最初に向かったのは、ハーバーフロント。目の前に広がるのは海ではなくオンタリオ湖だ。「オンタリオ」とは先住民の言葉で「きらめく水」という意味を持つ。マリーナにはクルーザーがいくつも係留されていて、レストランのテラスには、昼間から気持ちよさそうにビールジョッキを傾けている人の姿もあった。

左:高層ビルより遥かに高いCNタワー。ハーバーフロントからは歩いて10分ほどの距離。
右:CNタワーを真下から見上げると首が痛くなりそう(笑)。

 振り返ると背の高いタワーが見えた。トロント随一の観光名所でもあるCNタワーだ。ここに上って、街を俯瞰してみることにした。高さ553.33メートルのCNタワーは、1976年に建てられた電波塔。館内には展望台やレストラン、ギフトショップなどがある。

メインの展望台「ルックアウト」は、地上346メートル。
「ルックアウト」から見下ろすトロントの街。高層ビルが立ち並んでいる。

 地上346メートルの展望台「ルックアウト」からは、トロントの街とオンタリオ湖が一望できるほか、なんと、ガラス張りの床からは遥か下の地面まで望むことができる。

「ルックアウト」の床の一部はガラス張りになっている。手前ではしゃぐ子供の向こう側で、カップルが記念撮影をしていた。
おそるおそるガラスの床に足を踏み入れると、地上の車が米粒のように見えた。

 ここでお決まりの記念撮影をするのも楽しい。小さな女の子がガラスの上ではしゃいでいるすぐ横で、おそるおそるガラスの上に乗ってみると、米粒のような車が道路を走っているのが見えた。

展望レストラン「360レストラン」は、72分で1周回転する。

 「ルックアウト」の上のフロアにあるのは、「360レストラン」。ゆるりと回転していて、72分で1周する。東京にも同様のレストランはいくつかあるが、高さがまるで違うので、街並みや湖を遥か遠くまで眺めることができて楽しい。

地上447メートルの「スカイポッド」。金網越しに風を感じることができて、浮遊感たっぷり。

 別料金を支払って、さらにエレベータで上へ行くと、地上447メートルの「スカイポッド」がある。エレベータを降りてから更に階段で上に上がると、窓がなく金網だけで、風を感じることもできる。

 この展望台で、4月中旬~10月までの天候のいい日に限り、命綱をつけて外壁の縁を歩く「エッジウォーク」とうアクティビティがある。スリルを味わいたいならもってこいの体験だ。残念ながら(ということにしておこう、笑)、取材時には催行されていなかったので体験できなかったけれど。

CN Tower(CNタワー)
所在地 301 Front Street, West Toronto, Ontario M5V 2T6
電話番号 416-868-6937
http://www.cntower.ca/

2016.10.29(土)
文・撮影=たかせ藍沙