食も絶景も、昼も夜も嵐山を楽しみつくすには

 天龍寺の門前は、おいしいご飯処、カフェ、土産物店などがひしめき合うメインストリート。とくに秋は食材がおいしくなる季節。グルメを楽しみにお寺や竹林を歩くのが、嵐山を訪ねる醍醐味でもある。

 おすすめは、朝いちばんに天龍寺や宝厳院などを拝観した後、天龍寺の北門から竹林の小径へ入り、ぶらぶら散策するコース。嵐山を一望できる嵐山公園亀山地区を経て、小船が行き交う保津川の畔を歩いていけば、嵐山のランドマークである渡月橋に到着する。左岸の川べりに腰を下ろし、街のにぎわいを感じながら、山々のきらめく紅葉を眺めたい。

 日中は多くの観光客が行き交う嵐山が、もうひとつの顔を見せるのは日暮れ以降。夕方、静けさの戻った竹林を再び訪ねれば、タイムスリップしたかのような心地になるはずだ。

 暗闇につつまれる頃、宝厳院の夜間公開へ。ライトアップされた幻想的な夜紅葉とともに、嵐山の一日は終わる。日帰り旅ならば、急いで新幹線へ。一泊するならば、翌朝、まだ喧騒が始まる前の渡月橋を訪れて。

[PM 5:00] #まるでタイムトリップ

野宮神社から大河内山荘へ、約400メートルにわたって続く「竹林の小径」。10月の第3日曜(2016年は10月16日)には野宮神社の「斎宮行列」が行われる。12月9日~18日の「京都・嵐山花灯路」の際には小径の両側がライトアップされる。

 竹林の小径には、天龍寺の北門から行くと分かりやすい。大河内山荘方面、野宮神社方面の二手にわかれるが、写真は大河内山荘の少し手前の辺り。四方を竹林に囲まれた美しい場所は、ドラマや映画のロケ地にもよく使われている。夕暮れ時や朝方、人の少ない時間帯に訪れたい。目を閉じ、古の時代に思いを馳せて。

[PM 7:00] #夜紅葉

 1461年創建の宝厳院は、天龍寺の塔頭(たっちゅう)。嵐山を借景にした回遊式山水庭園「獅子吼(ししく)の庭」では、紅葉と150種の苔の見事なコントラストを鑑賞できる。自然に流れ着いたといわれる巨大な岩の間には小川が流れ、耳を澄ませば水音に心が洗われる。2016年11月11日からは夜、庭園全体がライトアップされ、幻想的な空間に。

●秋の特別拝観
期間 2016年10月1日(土)~12月4日(日)
拝観時間 9:00~17:00(閉門)、本堂~16:30(受付終了)、庭園~16:45(受付終了)
拝観料 500円(本堂)、 500円(庭園)

●秋の夜間特別拝観
期間 2016年11月11日(金)~12月4日(日)
拝観時間 17:30~20:30(閉門)、本堂~20:00(受付終了)、庭園~20:15(受付終了)
拝観料 500円(本堂)、 600円(庭園)

宝厳院
所在地 京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町36
電話番号 075-861-0091
http://www.hogonin.jp/

2016.10.07(金)
Text=Hiroko Nakano
Photographs=Mariko Taya、Hideya Katsura、Katsuhiko Mizuno、Hidehiko Mizuno
Map=Kenji Oguro

CREA 2016年11月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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