保険・棺桶・志望校のランクをどうする?

ジェーン おっ! ビックリした。打ち合わせもしていないのに。

しまお でも、本当にそうですよね。子どもっていうアイテムが増えると、やっぱり別の波が襲ってくるし。

ジェーン そうそう。

しまお 私はしていないけど、結婚式とかも。

ジェーン 「せっかくですから」っていわれて、どんどんプランが増えて。あと死んだときも。すぐに燃やしちゃうとはいえ、一番安い棺桶は、やっぱり選べないよ。うちの母が死んだとき、うちの家計はだいぶ低空飛行になってたんですけど、やっぱり一番安いのは選べなかった。葬式プランとかも。

しまお 海外旅行行く前にかける保険のプランは、絶対下から2番目のにしちゃう。

ジェーン わかる。それは人間の心理ですよね。

しまお 私は一番下ではございませんっていう。

ジェーン 本当に世の中には甲冑が多すぎる。マンションとかもそうじゃないですか。「あなたの身の丈はこのあたりじゃないんですか?」「ちょっと背伸びしてこんなのどうですか?」って。

しまお 高校受験のとき、志望校のランクを落とせって先生にいわれた話は……関係ない? 私は1個上げたかったんです。でも、先生は1個落とせっていうんですよ。

ジェーン その話、すごい大きなヒントのような、すごい遠いような……。身の丈を考えて、確実にそれを手に入れたかったら、やっぱり1個下げるぐらいでちょうどいいのに、周りが上を見させるわけですよ。結局甲冑の正体は何かというと、「自分が人からどう見られたいか」と「自分自身をどう自己認識したいか」っていうことですよね。

しまお そうですね。複雑やね。

ジェーン なんで関西弁なんですか(笑)。でも、世の中甲冑が本当に多すぎて、どれをまとっていいかわからない。だって、マツキヨ行ったら髪に付けるものだけで何種類出てる? 朝のクリーム、夜のクリーム、寝癖直しウォーター。普通の水じゃ駄目なの?

しまお 化粧品もそうだし。

ジェーン 今、アイシャドーの下に塗るベース、始まったね。

2016.07.24(日)
構成=臼井良子
撮影=鈴木七絵