文房具の他に昔玩具も並ぶ「サウス・ショア・ペーパリー」の店内。

 「十年一昔」と言いますが本当にその通りで、10年前には思いもよらなかったSNSの流行にガジェットの進化にと、もうついていけなくなりそう。とは言いつつ、昨年からはじめたインスタグラムにはすっかりはまって、敬遠していた最新ものもはじめてしまえば楽しいし、世界が少し身近に感じられ、流行ものには理由があるのね、と納得することも多い。反面、取材などには相変わらずメモ帳に鉛筆で、そこだけはまったく進化できない自分もおります。

左:オリジナルブランド「Bradley & Lily」のカードは2ドルから。
右:クラシックハワイのステッカーは5ドル。

 鉛筆で書き留めることでインプットできる「記憶と指先の連動感」はやはり捨てがたいですし、折につけ手紙やはがきをくれる丁寧な暮らしをしている友人も多くいて、私もそんな風に生活せねば、と意識をリセットすることもしばしば。

 何事も進んでいくものばかりではないのがこの世の中で、私の友人の一人にITコンサルタントを生業としながら、自分で鉛筆を手作りするような趣味人がいます。旦那様の出張の際には、手作りの鉛筆で「I Love You」と書いたカードをチョコレートと一緒にバッグの底に忍ばせておくという風流なこと(!)を、さらっとしてしまう素敵な女性。こういうアメリカ人らしい“職業と生活のいい意味でのギャップ”は、見習いたいと思う事しきりです。

植物モチーフがかわいい「Bradley & Lily」のカード6枚セットはバリエ豊富。10ドルから。

 カード文化が根付いているアメリカでは、何かというとカードを贈ります。

 ワイキキ東部のカパフル通りにある「South Shore Paperie(サウス・ショア・ペーパリ―)」はカードの専門店で、しかもそのほとんどが再生紙を利用した、メイドインハワイ。というか、お店がアトリエで、奥様のデザインを旦那さまがレタープレスして作っている完全な家内制手工業。80年代に流行ったネオンカラーのハワイステッカーとはまったく違う、上品でシンプルなカードの数々が生み出されています。

 自然をモチーフにしたアイテムも多く、どこかほっこりする“リラックス・ハワイ”なレターセットなどを眺めていると、誰もが「大切な人にお手紙書きたいな~」なんて思ってしまうはず。サイズもデザインもいろいろ。カラフルで小さなメモ帳などは、贈り物にしたいほどセンスがいい。書いて贈るも、そのままお土産にするもありな、本当にいいお店です。

South Shore Paperie(サウス・ショア・ペーパリー)
所在地 1016 Kapahulu Ave. No.160 Honolulu, HI 96816
電話番号 808-744-8746
営業時間 9:00~16:00
定休日 日曜
URL http://southshorepaperie.com/

2016.05.31(火)
文・撮影=工藤まや