監督の意向と合致したキャラ研究

――さて、今回、翼役で出演されている『あやしい彼女』は、オリジナルの韓国版のほか、中国版やベトナム版なども製作されていますが、オリジナルは参考にしましたか?

 オリジナルは笑って泣けて、韓国映画ってスゴいなと思ったぐらい素晴らしい作品でした。ただ、そこにとらわれて作品に臨むというよりは、あまり意識せず、新鮮な気持ちで翼という役を僕なりに演じたいと思っていました。それに水田伸生監督は『陽だまりの彼女』に出たときの僕の雰囲気を気に入ってくださって、お声をかけてくださったんです。僕がこれまでやってきた役が、誰かの心に残っているということは嬉しかったですし、全力でやらせてもらいました。

――ちなみに、印象深い撮影エピソードはありますか?

 翼のヒントにならないかと、水田監督の過去の作品を観たんですが、『謝罪の王様』で岡田将生さんが演じていた沼田という役が自分の思っていた翼像に近かったんです。それをヒントに自分なりの翼を作っていったんですけれど、現場で監督が「翼は『謝罪の王様』の沼田みたいなアホさを持ったキャラクターなんだよね」というお話をされたんです。そのときは、やっぱり嬉しかったですね。

――今回の現場で学んだことがあれば教えてください。

 芝居の巧さではなくて、演技に入る前、現場での見えない関係、空間作りというものを先輩の俳優さんから学ばせていただきました。僕、人見知りのうえ、緊張していたので、全然話せなかったんです。その緊張をほぐしてくださいましたし、いろんなことに触れることができた新鮮な現場でした。

2016.03.31(木)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘