広重、春信らの浮世絵から想を得た名品7篇、熟達の筆、成熟の境地に酔う 『しのぶ恋 浮世七景』
惚れ惚れするような熟達の筆に酔いしれた。市井を描いた昨今の時代小説は数あれど、『しのぶ恋 浮世七景』は特筆すべき一級品である。説明するまでもないが、諸田玲子は一九九六年にデビュー。「お鳥見女房」シリーズ、「あくじゃれ瓢六」シリーズで人気を博し、二〇〇三年には、短編集『其の一日』で、吉川英治文学新人賞を受賞するなど注目を浴びた。一方で、『奸婦にあらず』(新田次郎文学賞)、『四十八人目の忠臣』(歴史時代作家クラブ賞作品賞)、『今ひとたびの、和泉式部』(親鸞賞)など長編小説を数多く世に送り出す。
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2023/11/29