豆の甘みが口いっぱいに優しく広がるベジタリアンタコス

カジュアルなメキシコ料理屋「La Taqueria(ラ・タケリア)」。

 もう一軒、カジュアルな人気メキシコ料理屋も紹介しよう。同じ地区にある「La Taqueria(ラ・タケリア)」である。

 昼の1時だというのに、この行列。並んでもおいしいものを食べようと思うのは、日本人だけではないらしい。

 並んでいるうちに、お姉さんが注文を取りにくる。といっても、メニューを見せてくれる訳でもない。厨房奥に掲げられたメニューは、遠すぎて見えない。タコス、エンチラダス、ブリトー、ケサディアス。バリエーションやトッピングも多いのに、みんなすらすら頼んでいる。慌ててスマホでググり、店のホームページにたどり着き、ことなきを得た。

「La Taqueria」のタコス、2種類。牛タンとベジタリアン。

 折角並んだのだからと、タコスを2つ頼んでしまった。牛タンのタコスとベジタリアンタコス。それにバドワイザーで10ドル。茹でただけの牛タンは、味付けされていない分、少し匂う。これはいかんとチリソースをかける。

 ベジタリアンの料理はいい。豆の甘みが口いっぱいに優しく広がり、そこへ生トマトやタマネギ、チーズの味がおいかける。皮にも、とうもろこしの甘い匂い。

 タコスを食べて思う。1つ3.85ドルは安いのかもしれないけど、これ1つじゃアメリカ人は足りないよ。ボクでさえ。そのせいか皆さん、タコスは食べていない。より腹持ちのするエンチラダスかブリトー支持者なのであった。

メニューを見せずに注文をとる店員。

La Taqueria(ラ・タケリア)
所在地 2889 Mission St, San Francisco, CA 94110
電話番号 415-285-7117
URL https://www.facebook.com/LaTaqSF

<サンフランシスコ>

 1年中、温暖な気候に恵まれ、年間の晴天の平均が300日という、ほとんど雨が降らない都市。もっとも夏の間は水温と外気温の差により霧が発生することから、「霧の町」ともよばれる。1769年にスペインに偶然発見されたのがサンフランシスコの始まり。そしてカリフォルニアは、1850年に31番目の州としてアメリカ合衆国に併合された。その後、ゴールドラッシュで町は発展、ヒッピーをはじめとするカウンターカルチャーもここから起こり、いつの時代でも新しい情報 を世界へ発信する都市として知られている。国際色豊かな3000以上のレストランがあり、美食の都市としても有名。

 日にちを限定しないならば、サンフランシスコへの往復運賃最安値は5万円台(「スカイスキャナー」調べ)。お気に入りのレストランの予約を取ってから、旅行の計画を立てるというのも、楽しい旅のひとつの方法だ。

マッキー牧元(まっきー・まきもと)
1955年東京出身。立教大学卒。(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、全国を飲み食べ歩く。「味の手帖」 「銀座百店」「料理王国」「東京カレンダー」「食楽」他で連載のほか、料理開発なども行う。著書に『東京 食のお作法』(文藝春秋)、『間違いだらけの鍋奉行』(講談社)、『ポテサラ酒場』(監修/辰巳出版)ほか。

 

Column

マッキー牧元の「いい旅には必ずうまいものあり」

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、全国を飲み食べ歩く「タベアルキスト」のマッキー牧元さんが、旅の中で出会った美味をご紹介。ガイドブックには載っていない口コミ情報が満載です。

2016.02.04(木)
文・撮影=マッキー牧元