アイスカチャンは多色使いが大事!

赤、緑、黄などの色つきのシロップがかかっていることが多い。色が違っても味はほとんど同じで、大事なのはカラフルにすること。このアイスカチャンにはアイスクリームも数種のっていた。

 アイスカチャンは様々な色で彩られています。美しさよりも、とにかくカラフルであることが大事。トウモロコシの黄色、薬草から作るゼリーは黒。さらにタピオカにも緑、ピンク、赤で色づけ。複数の色が芸術的に混ざり合ってこそ、アイスカチャンなのです。

アイスカチャンはカリカリ、プチプチ、食感が楽しい!

半透明の具はニッパヤシの実で、ナタデココのような食感。(写真提供:鈴木さん)

 アイスカチャンは色んな食感が味わえます。とくにポイントになっているのが、ピーナッツのカリカリ感。この香ばしい食感が絶妙なアクセントになっていて、最後まで飽きることがありません。さらに、トウモロコシをかじったときのぷちゅっと弾ける食感もいいし、ちゅるんとなめらかに喉奥に吸い込まれていくゼリーもいいんです。

アイスカチャンは、氷が溶けてからが本番!

氷もアイスクリームもすっかり溶けて、もう何のフレーバーだったかわからないぐらいごちゃごちゃに味がまざっても、マレーシア人はのんびりアイスカチャンを味わっている。

 アイスカチャンは溶けてからが勝負です。というのも、暑い屋外で食べるアイスカチャン。みるみるうちに氷が溶けてしまいます。でも、あせって食べる必要はまったくありません。なぜなら、氷が溶けても具を楽しめるから! アイスカチャンが驚くほど具だくさんなのは、この状況を想定して作られているからなのです(きっと)。

かき氷はテイクアウトもできる。ビニール袋に詰められたアイスカチャン。(写真提供:鈴木さん)

 さて、アイスカチャンは、レストラン、フードコート、屋台が集まったホーカーストアなどいろいろな場所で提供しています。

 ただ、店によって味が違うので、どんなアイスカチャンが出てくるかは、そのときの運にお任せを。ときに「サーシ」という特殊なシロップがかかっていることがあり、私は“スースーした味”が個人的に大好きなのですが、はじめて食べた友人は「これ、湿布みたいな味がする……」と、目を白黒させていました。

 マレーシアの具だくさんかき氷、アイスカチャン。様々な具が織りなすハーモニーをぜひ味わってみてください。

常夏のマレーシアでは、かき氷は日常食。ひとときの涼をはこぶ、毎日に欠かせないおやつです。撮影したのは、マレー半島北西部の都市イポーの人気屋台。薄く削ったふわふわの氷の上に、とうもろこし、小豆、タピオカ、ピーナッツ、椰子砂糖の蜜、ココナッツミルクをたっぷりのせて。持ち帰りの注文もできますよ!

日本でも「アイスカチャン」を提供しているレストランがあります!

マレーチャン サトゥ(東京都豊島区西池袋)
URL http://www.malaychan-satu.jp/

マレーチャン ドゥア(東京都豊島区東池袋)
URL http://www.malaychan-dua.jp/

マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://www.malaysiafoodnet.com/

 

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2015.08.10(月)
文=古川 音
撮影=古川 音、三浦奈穂子