この楽曲から浮かぶのは高校生の恋愛ドラマ

山口 さて、GLIM SPANKYの「リアル鬼ごっこ」を聴いて、どんな妄想分析が浮かびましたか?

伊藤 ついさっき、好きだった人に告白された。耳の後ろがドクドクとうるさすぎて、途中からその人の声が聴こえないくらい体中の血が沸騰した。あまりにも突然のことで、ちゃんとした返事なんて出来なかったけど……。今になって心の中では、ハイハイハイハイハイ!! もちろんOKです! ハイハイハイハイ! で早速どうしましょうか? と叫んでいる。

 高校入試で失敗して、滑り止めで受けたバカ高校に入学して3カ月、人生などクソくらえだと過ごしてきた。そんなバカの掃き溜めにも一つだけ希望があった。それは中学の時に憧れていたバスケ部の先輩がいること。もちろん先輩も漏れなく“おバカ”なんだけど、そんなことまったく気にしていない奔放さと、屈託のない優しさと甘いマスク。世間的に言うとちょっと薄すぎる弥生顔なんだけど、笑った顔は個人的にはどストライク。

 先輩に憧れすぎて、まったく興味のなかったバスケを始めたし、バレンタインは皆勤賞、先輩の卒業式にはしっかりと号泣させてもらった。それでも告白なんかできずに、憧れは憧れのままメモリーボックスにしまっていた。正直言うと、このバカ高校を滑り止めにしたのも、先輩がいたからだ。もちろん、15歳という人生におけるもっとも大切な時期に、一時期の恋愛感情で将来を棒にふろうだなんて思っていない。だけど、どうせ行く気もない滑り止めなら、と先輩がいる高校を選び、そして……そんな不埒な考えが神様の怒りを買ったのだ。

 まぁでも、もう今となってはお堅い神様の気持ちなんてどうでもいい。だって先輩はたしかに言ったのだ。照れくさそうにうっすらと笑った弥生顔で言ったのだ。おまえさ、オレのこと好きだって言ってたよな? だったらオレと付き合ってくれない?

山口 今回はコミック風ですね。恋愛漫画の第1回みたいです。これからどうお話が展開するのか知りたいです。

GLIM SPANKY「リアル鬼ごっこ」
ユニバーサル ミュージック 2015年7月1日発売
[CD+DVD]1,500円(税抜)
■表題曲は、トリンドル玲奈、篠田麻里子、真野恵里菜がトリプルヒロインを務める映画『リアル鬼ごっこ』の主題歌。亀田誠治が楽曲プロデュース、いしわたり淳治が作詞プロデュースを手がけている。GLIM SPANKYはヴォーカル&ギターの松尾レミ、ギターの亀本寛貴の2人がメンバー。2014年にメジャーデビューしたばかり。
■「リアル鬼ごっこ」作詞・作曲/松尾レミ
■オフィシャルサイトURL http://www.glimspanky.com/

2015.06.30(火)
文=山口哲一、伊藤涼