この記事の連載

とにかく劇場に足を運ぶ人口を増やしたい

――城田さんご自身が観客に期待していることや、今後こうなっていけばいいと感じていることはありますか?

 若者のエンタメ性が少し変わればいいな、と思うことがあります。海外だと、家族連れや若い人同士で劇場に行くんですよ。日本は、「ミュージカルを見に行こうよ」と、デートに誘っている人はあまりいないなと思うんです。僕は、そういうのがあって当たり前なのに日本ではなかなか普及していないなと思っているので、少しでも家族連れや若い人同士で劇場に来ていただければいいなと思うんです。

 そのためにも今後僕がもっとやっていきたいのは、新しい客層の取り込みです。これからの日本を担っていく若者には、若いうちからいいものに触れて、自分で良し悪しを決められるようになってほしい。目を肥やしてもらって、とにかく劇場に足を運ぶ人口を増やしたいと、そういう思いでやっています。

――自分の目で見て感じる、判断する、城田さんも若いときにそうした経験をされて今があるということですよね。

 僕自身の中での一番大きな出来事だと、20歳のときに初めてニューヨークに行ったことだと思います。当時、ブロードウェイミュージカルを4日間で7本くらい見たんですね。日本でそれまでもミュージカルをたくさん見ていたつもりだけど、衝撃を受けました。それからたくさんの作品に触れて、いいか悪いかは自分が見て比べてみないとわからないと思いました。その数が増えていけばいくほど、「何のどこが好きか、何のどこが嫌いか」が、おのずと引っ掛かっていくと思うんです。

 何かに対して「好き、嫌い」だけで終わっても、それでもいいと思います。けど、もう一歩先に、もう1個上にいくためには「なぜ」好きなのか、嫌いなのか、知るために思考することが大事だと思うんですね。特にこういう仕事に就いている人間は「なぜ」を知ることで、より上質なものが知れたり、作ることができると思うので。どんなジャンルのことをやるにしても「なぜ」をわかったほうが、確実に豊かになるはずだと僕は思っています。

城田優(しろた・ゆう)

1985年、東京生まれ。2003年に俳優デビュー。以降、テレビ、映画、舞台、音楽など幅広く活躍。近年の主な出演作に、NKK大河ドラマ「どうする家康」、NHK連続朝のドラマ小説「カムカムエヴリバディ」(語り手)、Amazon Primeドラマ「エンジェルフライト~国際霊柩送還士~」、映画「コンフィデンスマンJP英雄編」等がある。舞台では、第65回文化庁芸術祭「演劇部門」新人賞を受賞する等様々な賞を受賞。2016年に「アップル・ツリー」で演出家デビュー。ミュージカル「ファントム」では、演出・主演に加えてもう一役を務めるという異例の三刀流に挑み、話題に。

『TOKYO~the city of music and love~』

2024 年5月14日(火)〜19日(日)東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11F)

<出演アーティスト>
シンガー:城田優、SWEEP、RIOSKE(ペルピンズ)、吉田広大、Rainy。、yuzu(FYURA PROJECT)
ダンサー:原田薫、大村俊介[SHUN]、碓井菜央、BOXER、高村月
スペシャルゲスト:miwa(5/14、15)鷲尾伶菜(5/16、17、19)島津亜矢(5/18 昼・夜)

<スタッフ>
演出:城田優、金谷かほり
音楽監督:SWEEP 衣裳:齋藤ヒロスミ/⻄坂拓馬 照明:澁谷賢治 音響:明星隆志
映像:ムーチョ村松 舞台監督:清水正道
主催:キョードー東京
後援:文化放送、J-WAVE
お問合せ:キョードー東京 0570-550-799(平日 11:00〜18:00/土日祝 10:00〜18:00)

https://tokyoshow24.jp/

衣装クレジット

ジャケット 174,900円、シャツ 44,000円、
パンツ 130,900円(全て アミ/アミ パリス ジャパン 03-3470-0505)その他スタイリスト私物

次の話を読む“城田優を作る6つのコト”「日本でもトップレベル」と自負するほど大好きなものは?

2024.04.16(火)
文=赤山恭子
写真=原田達夫
ヘアメイク=Emiy(エミー)
スタイリスト=山中有希奈