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 初の著書『My Life』(祥伝社)を上梓したpecoさん。自身のファッションブランドのこと、これからのことも語ってもらった。


ryuchellは、まさにお父さんと真逆のタイプ

――初の著書『My Life』(祥伝社)では、偏愛する80〜90年代ファッションへの思いも綴られています。pecoさんは1995年生まれということですが、周りに同じ趣味の人はいたのでしょうか。

pecoさん(以降、peco) いなかったですね。人と「違う」ことが嬉しかったし、逆に、制服といった「同じ」スタイルを強制されることが苦痛でした。

 校則の厳しい学校に通っていましたが、ブロンドヘアに染めて、それを隠すために黒髪のウィッグを被って登校していました。

――たとえば結婚式や子どもの入学式といった“お決まりのフォーマル”があるような場ではどんなスタイルで行きますか。

peco それはマタニティウェアでも同じ悩みを抱えて、本当に困りました。こだわりがなかったらどれだけ楽だろうと、この時ばかりは自分を恨みました(笑)。

 結婚式も、ドレスコードがあれば、その範囲内で遊べるから楽しめるんですけど、何の指定もない式ほど逆にTPOの圧を強く感じるから、いつも悩みます。自分を出してもギリギリ許されるラインのドレスを必死に古着で探してますね。

――ファッションをはじめ、戸籍にとらわれない家族のかたちといったオリジナルな道を貫く一方、育ったお家は亭主関白なお父さんと専業主婦のお母さんという、「昭和な家庭」だったそうですね。

peco 昔、友だちの家に行った時、足の裏にゴミがついて驚いたことがありました。その時、チリ一つ落ちていないほど毎日お母さんが掃除をしてくれていたことに改めて気づきました。掃除が苦手な自分には到底できません。

 お父さんは、あまり大きな声では言えないですけど、「お父さんみたいな人とは結婚したくない」と思ってて(笑)。厳しく躾をしてくれたことには感謝していますが、パートナーに選んだのは私をお姫様扱いしてくれるryuchellで、まさにお父さんと真逆のタイプでした(笑)。

2024.04.24(水)
文=小泉なつみ
写真=佐藤 亘