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魚介類と野菜の食べ合わせの妙を追い求めて「蕎麦 茂左衛門(そば もぜむ)」

 最終日のランチは、手打ちする十割蕎麦と佐渡の食材にこだわった料理が味わえる完全予約制の「蕎麦 茂左衛門(そば もぜむ)」にて。店主の齋藤和郎さんは、佐渡生まれ。東京の蕎麦店などで研鑽を重ね、里帰りして2014年にお店をオープン。店舗にした家屋にもともと付いていた屋号、茂左衛門を店名にし、佐渡なまりの呼ばれ方「もぜむ」を読み方にしたそう。

 山や海に出かけその時々の季節の食材を調達しながら、どうおいしく合わせるか、日々の探求に余念がありません。たとえば、「ヤリイカのさっと煮」なら、魚介類と野菜などの食べ合わせの妙を追い求め、イカと菜の花、イカとカブ、卵とイカなど、一緒に頬張ってさまざまな口内調味を楽しめるように。散りばめた種漬花という野草を口にすれば、クレソンのようなピリッとした辛味がアクセントにも。

 十割で打つ蕎麦は、細打ちでなめらかな舌触り。食べ方は「江戸前風もり」を選ぶことができますが、ここは佐渡伝統の「ぶっかけ」を。「ぶっかけ」は、蕎麦の入った丼に冷たい蕎麦つゆをかけてよく混ぜます。たっぷりつゆを絡めた蕎麦を手繰ると、渾然一体となった蕎麦とあごだしが楽しめます。たっぷりかけても優しい味わいのつゆは、小木産のあごとカマス、干し椎茸でだしをとったもの。ガッツリ辛いカルム農園の佐渡産一味唐辛子をひとふりしても絶品です。

 「佐渡に来てよかった」と思えるほど、奥深いぶっかけ蕎麦の余韻に浸ったら、両津方面へと向かいましょう。

蕎麦 茂左衛門

所在地 新潟県佐渡市新穂田野沢163-1
電話番号 0259-67-7972
営業時間 11:30~14:00(LO13:30)、17:00~22:00(LO21:00)
定休日 日曜(3連休の場合は日曜営業の月曜休)
※要予約(前日昼まで)
https://sobamozem.com

2024.03.27(水)
文=大嶋律子(giraffe)
写真=釜谷洋史