伊藤 最初は、豊さんと同じく、この世界が大変だとよくわかっているので迷いがありました。芸能界とは異なる世界で生きたほうが世界が広がるし、趣里にとっていろんな可能性が増えると思ったからです。

 でも、趣里の意志が強く、女優として生きていきたいということでしたので、最終的にはその意志を尊重して、頑張って、という気持ちになりましたね。小さい頃から子どもの気持ちを尊重して育ててきたので、今の道に進んでからは応援しています。

 

「声の質が私に似ている」蘭さんと趣里さんの知られざる“カラオケ事情”

――趣里さんは『ブギウギ』が好評で、水谷さんも『相棒』シリーズがライフワークになりつつあります。それぞれの作品を見て、家族でお互いを評することはあるのでしょうか。

伊藤 評するというよりも、感想をいいます。社会的な評価は作品を見る人が下すものなので。私は、俳優というものがどれだけ作品のことを考えて、どれだけ役に思いを込めてやっているのかが分かるから、感想は「素晴らしい」しか出てこないです。

――趣里さんは、キャンディーズ時代の蘭さんに興味を持ったり、歌を志すということはなかったのですか。

伊藤 なかったですね。でも、趣里は小さい時からキャンディーズのビデオを見たり、車のなかで曲を聞いていたので、キャンディーズの歌は体にしみ付いていると思います(笑)。

 カラオケに行った時も「最後、キャンディーズの曲で締めようか」と一緒に歌ったりします。声の質が私に似ているので、歌っていると普通にキャンディーズに聞こえて、おもしろいです(笑)。

今後も歌と芝居を両立していきたい

 蘭さんは、昨年、キャンディーズの曲をメインにした50周年のコンサートツアー「伊藤 蘭 50th Anniversary Tour ~Started from Candies~」を全国6都市で成功させた。2023年は歌手・伊藤蘭の活躍が目立ったが、果たして今年の春からはどのように動き出すのだろうか。

2024.03.23(土)
文=佐藤 俊