この記事の連載

 上野動物園が2023年10月29日に開催した学生向けセミナー「飼育係だけ!? 動物園でパンダと働くシゴト案内」は、パンダに関わるさまざまな仕事を伝え、視野を広げてもらおうと企画されました。セミナーの様子を中心に、上野動物園のパンダにまつわる仕事を4回にわたり紹介します。

» #1 調整係
» #2 飼育係
» #3 獣医師


パンダが快適に過ごせるよう多くの人が支えている

 ここまで上野動物園の飼育展示課の仕事を紹介しましたが、ほかにもパンダに関わる部署はあります。一つは施設係(正式名称は「公益財団法人東京動物園協会 総務部 施設課 恩賜上野動物園施設係」)。園内の施設や設備の保守・管理をしていて、電気職、機械職、造園職に分かれます。

 パンダとの関連でいうと、電気職はパンダ舎の照明や通信機器の対応、機械職は竹の鮮度を保つ竹庫の冷凍冷蔵設備の管理などをしています。

 パンダの屋外放飼場とその周辺には、さまざまな植物を植えています。植物には、日陰をつくるなど多くの効果がある一方で、刺されると痛い毛虫や植物を弱らせる虫が付くこともあります。また、植物が伸びすぎると観覧者からパンダが見えなくなります。これらに対処しているのは造園職です。造園職は園内の竹も管理しています。新たに生えたタケノコをすべて育てると密になり、竹の生育に良くないので間引いています。

動物を知るきっかけになるように商品開発

 来園者と1番近いのは事業課(正式名称は「公益財団法人東京動物園協会 恩賜上野動物園 事業課」)で、業務係、案内係、販売係があります。

 来園者が必ず接するのが案内係。入口で入場券などを確認するためです。案内係の職員は約30人で、ほかにアルバイトの人もいます。案内係は、園内の総合案内所や観覧列の整理・誘導なども担当しています。パンダの観覧列で案内係の職員と警備会社の警備員を見かけたことのある人は多いでしょう。

 販売係は園内のお店の運営・管理をしています。職員は約25人、アルバイトは200人以上が所属。商品開発に関わることもあります。「ギフト商品もフードのメニューも動物を知るきっかけになるように、できる限り教育普及の要素を取り入れています」(販売係)

2024.03.17(日)
文・撮影=中川美帆