この記事の連載

中国の大人気パンダ「和花」に会う(前編)

 600頭近くのジャイアントパンダを飼育し、パンダが珍しくない中国で「パンダブーム」をもたらしている可愛らしいパンダが四川省・成都にいます。名前は和花(ホーファ)。どんなパンダなのでしょう。成都へ会いに行きました。


 和花は、コロナ禍の2020年7月4日に成都で生まれた、3歳のメスです。日本にいるパンダで最も年齢が近いのは、和歌山県・アドベンチャーワールドで2020年11月22日に生まれた楓浜(ふうひん)。次に近いのが、2021年6月23日に東京・上野動物園で生まれた双子のシャオシャオ(暁暁)とレイレイ(蕾蕾)です。

 和花は中国で花花(ファーファー)という愛称で親しまれています。現在は、双子の弟、和葉(ホーイエ)と一緒に暮らしています。

午前7時過ぎには長蛇の列

 和花がいる場所は、成都ジャイアントパンダ繁育研究基地(以下、成都基地)。約200頭のパンダがいる施設です。

 筆者は2023年6月11日の日曜日に訪れました。開園10分前の午前7時20分に入口前に到着すると、すでに人でいっぱい。このところ中国各地の観光地は混雑しているそうですが、さすがに多い。先頭の人に「何時から並んでいますか?」と尋ねるつもりでしたが、密集していて、とても先頭までたどり着けません。中国のSNSである「微博(ウェイボー)」によると、先頭の人たちは毎日、午前5~6時ごろから並んでいるらしく、和花の3歳の誕生日は、前日から徹夜した人たちもいたようです。

 午前7時30分に開園すると、多くの人が和花のいるエリアを目指して走り出しました。ちなみに日本でパンダを公開している施設でも開園前に行列ができますが、開園時に走るとスタッフから注意されることが多いです。これは、走って動物たちを驚かせないようにするため。そして、走れない人が後ろの人に抜かされるのを防ぐためでもあります。

 和花の観覧列に着くと、長蛇の列ができていました。筆者は2007年1月以降、成都基地を10回ほど訪れていますが、これほど長い行列は見たことがありません。保育器に入った赤ちゃんパンダという珍しい場面ですら、観覧のために並んだ時間はわずか5分でした。和花の行列を目の当たりにして、人気の高さを実感しました。

2023.08.24(木)
文・撮影=中川美帆