◆海霧

 11月初旬から1月初旬にかけて、冷え込みの厳しい早朝に瀬戸内海沖に発生する海霧。海上を漂う霧が雲のように見える、幻想的な光景が広がる。

 時折霧の切れ間から姿をのぞかせる船や島々は、まるで空を飛んでいるかのよう。この自然のアートは、瀬戸内海の多島美を眼下に見る、三原市の筆影山や竜王山から観賞することができる。

 気象条件の整った冷たく透き通った夜明け前から、ほんのわずかな時間に繰り広げられる大自然のアートの幽玄さに圧巻。

海霧(うみぎり)

所在地 広島県三原市
https://www.mihara-kankou.com/sightseeing/1044

◆雪のテングシデ群落

 テングシデは、世界中で北広島町大朝の田原・灰谷にのみ群生する植物。イヌシデの変種で、通常は生存競争に生き残れず枯れてしまうことが多いのだが、テングシデが生き残り、遺伝して群生を成しているというのは非常に貴重で、国の天然記念物にも指定されている。

 くねくねとした樹形が個性的で、季節によって大きく印象を変え、さまざまな姿を見せてくれるユニークな植物。冬には雪で覆われ、静寂の中で寒さに耐える姿がとても神秘的。

雪のテングシデ群落(ゆきのテングシデぐんらく)

所在地 広島県山県郡北広島町田原・灰谷
http://www.kitahiro.jp/sightseeing/tengushide/

2024.01.29(月)
文=桐生奈奈子