モダニズム建築の空間「新潟市美術館」で前川ワールドにどっぷり

 新潟市まで来たなら日本を代表するモダニズム建築の巨匠、前川國男が最晩年に手がけた建物も必見です。

 1985年に開館した「新潟市美術館」は、建物そのものが魅力の一つ。大きな特徴となっている外壁は、前川が長持ちする建築を目指して独自に開発した「打ち込みタイル工法」によるもの。向かいの「西大畑公園」も前川の設計で、両敷地には同じ工法でレンガが敷かれ、柳並木と堀割という、かつての新潟の街を再現といった趣向が凝らされています。

 打ち込みタイルが美しい建物の見どころは質感。オリーブグリーンのタイルは、一枚一枚微妙に色味が異なり、刻々と変化する光によって周囲の木々と一体化したり、雨の日は艶やかな黒に似た色合いに変わったりと、さまざまな表情を見せます。

 5,000点を超える近現代の作品を収蔵。海外の作家では、19世紀末の象徴主義から20世紀前半のシュルレアリズム、戦後のウィーン幻想派などを収集し、企画展示室では、国内外、ジャンルにとらわれない展覧会を行っています。館内には、公園の景色を眺めながら寛げるカフェもあるので、アート鑑賞後にひと息して帰路へ。

「少女たち 星野画廊コレクションより」「Negicco展」ほか

開催期間 2023年11月18日(土)~2024年1月21日(日)
世の変転を乗り越え、いまも強い眼差しで見つめ返す「少女たち」。画家の有名、無名問わず、画商の心を深く捉えた華麗で濃密な120点を一挙公開。同時開催の「あしたもアイドル Negiccoのアートワーク」展も必見。

新潟市美術館

所在地 新潟県新潟市中央区西大畑町5191-9
電話番号 025-223-1622
営業時間 9:30~17:00(時期により〜18:00)※閉館30分前最終入館
定休日 月曜(祝または振替休日の場合は、その翌日)、年末年始
https://www.ncam.jp

2023.12.19(火)
文=大嶋律子(giraffe)
写真=鈴木七絵