●「その人の人生を借りる」俳優体験

――今夏は、ひよこちゃんの被り物をしたチキンラーメンのCMも話題になりました。

 これまで出会えなかった人に出会えるようになったのは、すごく良かったと思います。同時に、半笑いで近づいてくるやつも増えましたが、俺たちの本懐であるライブを見てもらったときに、そういうやつらがファンにならないまでも、真顔になって「あれ、俺ってこの生き方でいいんだっけ?」って思わせるライブができるって自負があるんですよ。

 だからこそ、あの仕事を受けたと思うし、受け入れられる自分になれたことが誇らしいって思っています。自分たちがライブ空間を作り、お客さんの心が震えている音が聞こえる魔法みたいな瞬間を体感していくことで、でき上がった自信なんでしょうね。

――初主演映画『さよなら ほやマン』では、東京からやってきたワケあり漫画家と出会う離島の漁師・アキラを演じられています。

 庄司輝秋監督から「アフロさんを当て書きしました」と渡された脚本に、「ほやマン」と書いてあったときには、お返ししたい気持ちになりましたけど、読んでみたら、しっかりしたドラマが描かれていたので、「やるべきものが来たんだな」と思いました。

 アキラは自分が別の世界線で、離島で漁師をやっていたらこんな感じだろうというキャラだったので、とても演じやすかったです。弟役の黒崎煌代くんは、一回り以上年下だったけれど、めっちゃいろんなことを教えてくれました。おかげで演技の成長スピードというか、アキラになっていくスピードが速かったです。

 でも、監督から「滑舌が良すぎる」と注意されて、セリフの滑舌を落とすことが大変でしたね。

――本作への出演は、アフロさんにとって、どのような経験になりましたか?

 その人の人生を借りるっていう感覚を体験しましたね。だから、MOROHAアフロに近いアキラとして、リリックを書いても面白いだろうなと思って、実際にやりました。

 ライブに来てもらうためにCDを渡すような音楽と違って、映画は先にお金を払ってもらってから観てもらうわけで、MOROHAの名にかけて、素晴らしい作品になっていると言わせてください。

 MOROHAのその先の物語として、『さよなら ほやマン』を捉えてもらえると、絶対心に触れるものがあると思いますから!

2023.11.03(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖