会場からは拍手喝采だったロバート・デ・ニーロの発言

 ディカプリオはインタビューはできず記者会見のみだったが、特別上映された主演作「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」は、今年のカンヌでぶっちぎりに長く(約3時間半!)、そして面白かった。ディカプリオは、1920年代の米国南部で、先住民オーセージ族の女性と結婚する実在の男を演じているのだが、記者会見で場をさらってしまったのは共演のロバート・デ・ニーロ。

 白人至上主義者による先住民連続殺人事件が描かれているこの作品で、その親玉を演じるデ・ニーロは「名前は出さないけど」と言いながら、「自分が演じた男はナチスと同様の“凡庸な悪“であり、こういう男は今もいる」と語っていたが、その後でついつい「ドナルド・トランプもそうだ」と名前を出していた。これには監督のマーティン・スコセッシが「名前を言ってるじゃないか」と突っ込んで大笑いしていたが、会場は拍手喝采だった。

 ハリソン・フォードもインタビューをした際、同様の趣旨の話をしていたが(インディ・ジョーンズの敵は、ナチスの残党だ)、昔も今も、世の分断を煽ることで利益を得ようとする政治家や権力者が次から次へと現れる。

 映画は、世の中を映すものであり、たとえアクション映画であっても、その背景にある歴史、そして政治とは切っても切り離せないのだ。そういうことを、カンヌに来ると思い知るわけです。さて、長くなってしまったので、女性映画人の活躍については次回に。

2023.10.06(金)
文・撮影=石津文子