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エルニド諸島ならではの景観、ラグーンは必見!

 リゾートでのマリンアクティビティやダイビングも素晴らしいが、エルニド諸島にはいくつかの見どころがある。どれも自然のなせる業なのだが、なかでも外せないのがミニロック島にある2箇所のラグーン。海から島の内側深くに続く礁湖、「ビッグラグーン」と「スモールラグーン」だ。

 どちらもラグーンの入り口近くまで船で行き、そこからカヤックを使って中に入る。「スモールラグーン」は干潮時、「ビッグラグーン」は満潮時にだけ入ることができる。しかしどちらも浅瀬なので、海面の高さによっては喫水の浅いカヤックですら航行不能となってしまうのだ。

 最初に行ったのは早朝の満潮時の「ビッグラグーン」。ラグーンがある入り江でカヤックに乗り換えて先に進む。ここは、途中に浅瀬があるので満潮時でないと奥まで進むことができないのだ。「ビッグ(大きな)」と名づけられているだけあって、驚くほど奥まで続いている。地中の洞窟だとしたら、完全に迷子になりそうな入り組んだ地形だ。

 途中、カヤックがやっと入れるくらいの細い岩の亀裂の間を通ったり、マングローブの群生があったり、透き通った水の中には生きているサンゴの姿も。

 船のエンジン音がしないので、聞こえるのはカヤックを漕ぐオールの水音と、ときどきすれ違う他のグループの話し声だけ。風が止むと、水面は鏡のように周囲の景色を映して美しく、オールを漕ぐことを忘れて見とれてしまうほどだ。

 一方「スモールラグーン」は、その名の通りこぢんまりとしたサイズのラグーンだ。しかも、入り口が極端に狭い。干潮時にしか訪れることができないのは、入り口の小さな隙間が満潮になると通れなくなってしまうからだ。こちらもラグーンの手前でボートからカヤックに乗り換える。

 こちらは、取材時には私たちのグループしかいなかった。「エルニド リゾーツ」のツアーは、パラワン島のエルニドタウンからの日帰り客と時間をずらして催行されることが多い。オールが立てる水音だけが周囲の岩肌にこだましている。岩山が迫っているだけに、こちらのほうが切り立った崖の迫力を体感できる地形だ。 

 どちらのラグーンも潮の干満によって行ける時間が決まるので、早朝に行くこともあれば、夕方のこともある。そのときの太陽の位置次第で風景が変わるため、どんな景色を見ることができるかも楽しみに訪れたい。

2023.08.19(土)
文・撮影=たかせ藍沙