――ミュージカルの舞台では歌も大変そうです。

平野 もちろん鼻声や喉の枯れも困るんですけど、舞台で一番困るのは立ってしまったら鼻をかめないことですね。特に泣くシーンのあるお芝居だと、涙を出した瞬間に一緒に鼻水が止まらなくなってしまうんですよ。きらびやかなドレスを着たお姫様の役柄なのに、顔がぐちゃぐちゃになってしまうという……(笑)。

 あとは外での撮影があるドラマも大変ですね。涙が出てきちゃってNGになったり。ティッシュを鼻の奥深くに詰めたりしたこともありました。

 

――何か特別な対策はされているんですか?

平野 10代の頃から、毎日鼻うがいをしています。大事なお仕事のときは薬も飲むんですけど、副作用でどうしても喉が渇いてしまって、声帯を壊しやすくなるんですよね。舞台の役者さんでも1回の舞台で喉を壊してしまった方や、薬を毎日飲むと声が出なくなるという方がいて、対策にも制約があるんです。

――確かに、鼻炎の薬は口の中の水分も止めてしまいますよね。

平野 喉が渇かないけど鼻水が止まる、っていう夢のような薬をみんな求めていて、仲間内で「これが良かったよ」とか情報を交換しながら試行錯誤を繰り返しています。私が今気に入っているのは殺菌効果のあるアロマで、塗り薬のような感じで胸のあたりに塗ったり、手のひらに塗り込んでおくとスッと鼻が通ります。症状が軽い年だと、これだけで1シーズン乗り切れたときもありました。

「花粉症だと認めたくない気持ちが大きすぎて」

――平野さんにとって一番きついのはスギの季節ですか?

平野 病院では他にもいくつかの花粉にアレルギーがあると言われました。他にも検査を受けたら、ハウスダストや食べ物にアレルギーがあることが分かったんですよ。歴史のある劇場に入ったときに風邪のような症状が出たり、生の卵や魚卵を食べたあとに気持ち悪くなったりしていたのはアレルギーだったからなのか、と合点がいきました。

2023.03.26(日)
文=「文春オンライン」特集班