小田原の「ういろう」といえば?

 さらに小田原駅から海に向かって国道1号線へ出ると、“東海道”を感じます。

 そのひとつが、お城と見紛うような八棟造りの店構えの「ういろう」。和菓子店かと店内に入ると、あれ? 店舗中央に“調剤室”があり、店の半分が薬局、もう半分が和菓子店。どちらも“ういろう”を扱っています。

 ここは創業650年、外郎(ういろう)家が25代にわたって守り継ぐ和菓子と薬の店でした。薬のういろうは別名「透頂香(とうちんこう)」という一子相伝の製法による万能薬。和菓子のういろうは、室町時代に外郎家が外国使節にふるまった米粉の蒸し菓子が始まりといいます。

 実はこのお店、『東海道中膝栗毛』でも弥次喜多の二人が勘違い。小田原名物の“アゴが落ちるくらいうまい”ういろう餅を食べてみようと立ち寄り、「おや薬局だった!」という話が。同じようなことをしていたとは。

 国道1号線沿いで小田原名物の干物を気軽にテイクアウトできる「himono stand hayase」にもちょっと寄り道。

 その場で炭火焼きにした干物をお弁当に詰めてもらえる、新しいスタイルの干物屋さんです。創業110年、5代目の早瀬広海さんが奥様とアイデアを出し合い、メニューもひと工夫。“豆アジの干物の素揚げ”は、朝ごはんのまかないから原案が生まれたとか。

 小田原は山からミネラル豊富な水が相模湾に流れ込み、海の幸に恵まれた土地柄。湯治客や旅人で賑わう箱根の宿場へ魚を運ぶために、干物などの加工技術も進みました。

 かまぼこもまた、魚を加工した小田原の名産品です。全国区で名前が知られる老舗の本店が、かまぼこ通りには9軒も数えます。

 小田原のかまぼこの美味しさは、弾力と心地よい歯ごたえがポイント。魚肉が白く、加熱するとコシが出る“グチ”という魚を使い、箱根山や丹沢山系のミネラル豊富な水で何度も洗う“晒し”を行い、季節による魚の脂乗りや身の締まり具合、気温や湿度に合わせて職人がいちばんの状態に調整。こうして店ごとに異なる味わいのかまぼこが生まれます。

 老舗「かごせい」で揚げたての“揚げかまぼこ”を仕入れ、御幸の浜へ。

2023.01.14(土)
文・撮影=古関千恵子