神楽坂といえば……の甘味処「紀の善」が、店主の高齢化などのため、9月末に閉店していたことが分かりました。乃木坂46の「他の星から」のMVや歌詞に登場するなど、神楽坂の名所としても愛されていたお店の突然のニュース。

 SNSでは「抹茶ババロア、最後にもう一度いただきたかったな」(フードライターの白央篤司さん)、「神楽坂に行く楽しみがひとつ減ってしまったなぁ。寂しい」(声優の諏訪部順一さん)など、閉店を惜しむ声が多くあがりました。「紀の善」の「杏あんみつ」の魅力を紹介した記事を再公開します(初出:CREA WEB 2013.8.7  肩書きなどは掲載当時のまま)。

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杏あんみつ。この杏、ほんとにおいしい。杏とあんの組み合わせを思いついた人は天才ですね

 今回、ご紹介するのは、神楽坂の甘味処の老舗「紀の善」の杏あんみつ(640円)。

「紀の善」といえばあんみつ、あんみつといえば「紀の善」でしょ? とお思いのかたも多いことでしょう。が、私はあえて、「あんみつ」ではなく、「杏あんみつ」をおすすめしたいのです。

 なにしろ、「紀の善」の杏は特別においしいんです。甘くて、すっぱくて、香りがよくて、ほどよい柔らかさで。そのすばらしい杏があんみつの上に6個のっているなんて、うれしいじゃないですか。目が喜びます。

 人に差し上げるなら、パッと見て、うれしくなるものがいいです。

 そして、当然のことながら、味は文句なし。杏とあんと寒天が組み合わさることで、お互いの味を際立てあっています。杏を味わうためにあんが必要だし、あんのおいしさは杏によって深みを増す。寒天はさっぱりと口を涼しくしてくれて、また、あんと杏を食べたくなる。

 ひとさじひとさじ、口に運ぶたびにうならずにはいられない、完璧な組み合わせ。手みやげとして間違いなし、です。

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2022.10.16(日)