佐々木俊尚 1961年兵庫県生まれ。毎日新聞社、アスキーを経て、フリージャーナリストとして活躍。公式サイトでメールマガジン配信中。著書に『本当に使えるウェブサイトのすごい仕組み』

【KEY WORD:ネット選挙】

 1996年、新党さきがけが当時の自治省(現総務省)にインターネットの選挙活動利用に関する質問書を提出したことをきっかけに、超党派の国会議員が中心となり公職選挙法改正への動きが活発に。ついに2013年夏の参院選から公式に導入されることとなった。

インターネットの利用で候補者の人間性が丸裸になる!?

 7月21日に投開票が予定される参議院選挙から、インターネット選挙が解禁となりました。このネット選挙っていったい何でしょうか?

 勘違いしている人もいますが、ネットで投票できるわけではありません。変わったのは選挙運動をウェブサイトやブログ、SNS、LINE、ユーチューブなどのネットサービスを使って行えるようになったということ。ただしメールだけは候補者本人以外は選挙運動に使えません。候補者を中傷したり、大量の迷惑メールを送ったりするような行為を防ぐためです。

 メールを禁止しても、ブログやツイッターを使って特定の候補に対する誹謗中傷やデマの流布は防ぎきれません。しかし正当な批判は認められるべきなので、批判と中傷の線引きをどうするのかが難しい問題になります。

 とはいえ、ネット選挙を禁止するような後戻りはあり得ません。海外でも禁止したケースはなく、中傷やデマの問題は乗り越えていくしかないということなのでしょう。

 なぜならネット選挙には、さまざまなメリットがあるからです。第一に、候補者の肉声に触れやすくなる。これまでの選挙運動は街頭演説、ポスター、選挙公報ぐらいしか候補者情報に触れる機会がありませんでした。また街頭演説も、例えば東京郊外に住み、都心の会社に通っている人だと、昼間に居住区で街頭演説をやっていても見られません。多くの人の職住が離れている現代で、地元のみでの選挙運動は実状に即していなかったのです。

 候補者側からみると、選挙運動もしやすくなります。従来のように選挙カーを走らせて名前を連呼するようなやり方ではなく、インターネットで公約などを伝え、有権者と内容についてやりとりができれば、もっと建設的な選挙運動になります。

 また、候補者のツイッターやフェイスブックをフォローすれば、候補が日々発言していることがすべてわかります。ソーシャルメディアは発信する人の人間性が丸見えになる媒体ですから、有権者の投票行動に大きな影響を与えるようになるでしょう。

2013.07.21(日)

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