「気象病」や「自律神経の乱れ」を改善する、現役医師が教えるテクニック!!

 自律神経の乱れを治すために、日々行える効果的な対策は何かあるのだろうか?

「スマホやパソコンの長時間の使用を控え、首と肩が凝り固まっていたらしっかりストレッチすること。あとは朝昼晩と一定のリズムでバランスの良い食事を心がけるなど、規則正しい生活を心がけるのが肝要です」

 では気象病の予防についてはどうだろう。

「気候の変化は避けられないことなので、朝に雨が降ると気圧の変化で起きられなくなってしまう人は、事前に天気を調べておいて、その日は早めに起きてみるといいでしょう。体を慣らしていく時間を前もって用意するのは大切です。頭を覚醒させるためにコーヒーを1杯飲んでカフェインを摂取するのもいいでしょう。

 気象病の症状が出てしまったら、ロート製薬『キアガード』や小林製薬『テイラック』といった市販薬を飲むのもおすすめです。これらは『五苓散(ごれいさん)』という漢方を含んでいて、気圧の影響で血管が拡張することで自律神経が刺激されて起こる諸症状に対して、血管の拡張を抑制することで症状緩和にアプローチします。

 また、『五苓散』は気圧差によって起こる症状に対しても、体内の水分バランスを調節して和らげてくれます。正直、私の経験則では気象病に対してこれ以上効く漢方はないですね」

 最後に、久手堅医師は「気象病」や「自律神経の乱れ」について自覚的になることと、その認知が広まることの重要性を教えてくれた。

「まず、自分自身は自律神経が乱れやすい状態なのか、または気象変化の影響を受けやすい状態なのかどうかを知ることが大切です。自身の状態を把握していれば、打つべき対策の選択肢が具体的に見えてきますから。

 また、気象病のような病気は、一部では“根性がないだけ”みたいに思われることもありますが、なかには本当に起き上がることができなかったり、苦しくてのたうち回ってしまったりするほどの症状が出る人もいます。ですから、気象病がつらい病気であることをもっと多くの方に認知してもらいたいです」

————自身の体質を正しく把握し、「気象病」による影響を強く受けることがわかれば、日々の生活習慣について考える機会になるだろう。そして、久手堅医師のような専門医に相談する選択肢もある。「気象病」がより一般的になりつつある今こそ、自身の状態と傾向について自覚的になることが大切なようだ。

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久手堅 司(くでけん・つかさ)

せたがや内科・神経内科クリニック院長・医学博士。
日本内科学会 総合内科専門医
日本神経学会 神経内科専門医
日本頭痛学会 頭痛専門医
日本脳卒中学会 脳卒中専門医
https://setagayanaika.com/

書籍に「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」クロスメディア・パブリッシング
監修した本に「面白いほどわかる自律神経の新常識」宝島社

2021.10.12(火)
文=TND幽介〈A4studio〉