鍋のハイライトといえば締め!

私の心を表現してくれたかのようないくら

 鍋といえば締め。お酒を飲まない私には鍋のピークといっても過言ではない。ここで登場するのが数シーズン前に編み出した「節約ラーメン」という考え方だ。「雑炊はマストだけど、ラーメン(またはうどん)も食べたい」というときに、麺を食べる際はできるだけ汁を節約し、さらに残った汁で雑炊をつくるという手法(覚えておくといいよ!)。「節約ラーメン」に辿り着く前に汁がなくなっては元も子もないので、大切に、汁を飲み過ぎないように気を配る。

 というわけで、まずはラーメン。やや太めの麺と白髪ねぎを一緒に投入してスープを絡ませる。ううう、もっと汁を飲みたいけど、我慢我慢! 和え麺のようでおいしいけどね。

 お世話をしてくれるお姉さんに「私たち、頑張ってこんなに汁を残していますよ!」と笑顔でアピール。無事、雑炊を作ってもらえることになった。ここで登場したのがオプションのいくら! 真冬の短い期間しか出せないそうで、もちろん追加。卵をとき入れた雑炊をよそってもらい、そこにいくらの醤油漬けをたっぷりとのせてもらえるのだ。これが素晴らしくおいしいいくらで、思わず「白いご飯ください」と言いそうになるほど。さすがに申し出る勇気はなかったが、とにかく贅沢な展開だった。

 鍋は2つで行われていたのだが、私がいたのは面倒くさがりチーム。これが功を奏するとは誰が思ったであろう。このチームの鍋では、甲羅からていねいに蟹味噌を取り出す者などいはしない。そのため、存分に味噌が残っており、蟹味噌が濃厚に溶け込んだスープになっていた。つまり、雑炊も濃厚! ただでさえバターがきいたスープに蟹味噌がまったりと……。蟹味噌と鶏卵と魚卵のハーモニー、贅沢にもほどがある。

 出かける前はつべこべ言っていた蟹大根鍋会。大変つつがなく、結果的には万々歳な終わり方をしたのである。でも、もはやいくらがあるシーズンじゃないと我慢できない体になってしまった私たち。一年のお預けかぁ。

牧野
住所 東京都台東区松が谷3-8-1
電話番号 03-3844-6659

北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、ときどき料理本の編纂なども担当。炭水化物と肉を愛し、お酒は意外と飲めない。東京~軽井沢間の新幹線通勤を始めたので終電との戦いが新鮮な毎日。

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2013.02.12(火)