『勝手にふるえてろ』『寝ても覚めても』などの“いい人キャラ”で日本映画界の若手バイプレイヤーとして活躍する渡辺大知。

CREA WEBには、4年ぶり2度目の登場となる彼が“登場人物を生きる”芝居について語る。

『勝手にふるえてろ』の芝居で
腑に落ちたこと

――4年前、自身が監督された自主映画『モーターズ』が公開されたことで、俳優としての意識は変わりましたか?

 映画を作ったことによって、自分が役者として、作品に呼ばれて演じるときに、「こんなふうにみせたい」「こんなことをしてみたい」といった考え方がどこかシンプルになった気がするんです。

 そして、「映画がいい作品になるためには、自分はどんなことができるのか?」ということを強く思うようになりました。

 そんな気持ちの変化の中で、出会った作品が『勝手にふるえてろ』だったんです。そして、この作品を通じて、自分の中で腑に落ちたことがあったんです。

――『勝手にふるえてろ』で演じたヒロインに交際を申し込むヤサ男・いい人キャラは、その後の渡辺さんのイメージを印象付けたようにも思います。どのように腑に落ちたんでしょうか?

 作品が良くなることを優先しながら、自分にムリのない芝居をしたことで、とても心地良かったんです。それで、そのアプローチみたいなものを今後も大事にしていきたいと思うようになりました。

 ただ、そのやり方で自分がしっくりしたからといって、二度と同じことはしたくないとも思いました。次の作品のためにならないだろうから。

 ある意味、作品ごとに芝居も区切りを付けていかなきゃいけないということですね。

2019.11.01(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖