2010年夏、ロンドン各所の公園に突如として現れた、合計100台の卓球台。無料で誰でも自由にプレーできるイベント「Ping!」は、今年で3年目を迎え、夏場だけでなく通年設置される卓球台も多くなりました。元来シャイなイギリス人たちが、公衆の面前で卓球を楽しむのか、と興味深く見守っていたところ、中心部の公園ではひっきりなしに誰かがラケットを握り、なかなかの活況ぶりをみせています。

街中の公園に設置されている卓球台

 そんな追い風に乗って登場したのが、ヨーロッパ初のソーシャル・ピンポン・バー&レストラン「Bounce(バウンス)」です。10月1日のオープン以来、平日ですら訪れる人が後を絶たない大盛況。オリンピックで使用された公式卓球台、世界選手権で使用される公式台を含む17台がずらり。各卓球台のそばには、ドリンクを置けるバーテーブルが設置されていて、ドリンクを傾けながら、一息つきながらプレーをしたり、友人の試合を眺めたり、思い思いに楽しむことができます。階段を上がって奥のスペースには130席のイタリアン・レストランがあり、ナポリ出身のピザシェフが腕をふるっています。

広々としたスペースで思い思いに、ピンポンを楽しむ人々

 なによりも驚きなのは、このピンポン・バーのある、法曹界にもほど近い121 Holbornは、いまから111年前に卓球を発明、その特許を取得したジョン・ジャック3世のオフィスがあった場所。つまり、ピンポン発祥の地に、100年以上の時を経て欧州初のピンポン・バーがオープンした、というわけなのです。

ロンドン五輪で使われた公式台

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text&photographs:Kazuyo Yasuda(KRess Europe)