栽培、製茶、ブレンドに携わる人々の知恵の結晶、それが極上の抹茶。深い旨みをもつ一服へと姿を変えていくそのプロセスとは?
数品種を組み合わせ
安定した味わいに調製する
●堀井七茗園
「茶は川沿いのような砂地では旨みが濃く、標高のある粘土質の畑では香り高く育つ。ですが、同じ川筋の畑でも場所や摘んだ日が違えば味が変わり、標高が数十メートル違うだけで色も違う。いい生産者の方と相対取引をして茶を確保し、理想的な茶に仕上げるのが私どもの仕事です」
訪ねたのは、足利義満が開いた7つの茶園のうち、唯一現存する「奥ノ山茶園」を持つ「堀井七茗園」の社長・堀井長太郎さん。
同園で育てた茶葉のほか、生産者から仕入れた荒茶を見極め、ブレンドして製品にする茶問屋だ。
「合組」と呼ばれるこの作業はとても重要で、味、香り、水色(抽出したときの色)、挽き色のすべてにおいて最高ランクに仕上げる。
検品中の碾茶に湯を注ぎ、それぞれを確かめる堀井さんにお願いし、一口いただいたその味に、驚く。
「もう、出汁みたいでっしゃろ(笑)」
濃厚な旨み! これぞ、本物の宇治茶。
Text=Kie Oku
Photo=Atsushi Hashimoto