モガナが提案する
新しい“京時間”

 京都の旅において、ホテル選びは旅の満足度を左右する大事な要素。

 エクスクルーシブかつオリジナリティに富んだホスピタリティを提案するホテルとして話題なのが、昨年12月にオープンした「MOGANA(モガナ)」だ。観光のハイシーズンを迎える前に、その魅力を紹介する。

 世界各国で、その都市ならではの個性豊かなホテルを泊まり歩いてきたというモガナのオーナー。

 そんななかで、スタイルのあるホテルのアイデアあるサービスがゲストの旅をより個性的にすると実感したとか。

 同じように、日本有数の観光地であるここ京都で“新しいホスピタリティの形”を提案したいという思いからこのホテルは誕生した。

ホテルの入り口。独特のムードが旅のはじまりを盛り上げる。
ホテルの入り口。独特のムードが旅のはじまりを盛り上げる。
フロントからエレベーターへ続くのは、38メートルにも及ぶ長い廊下。ステンレスティールの床と木目の天井のコントラストが圧巻。
フロントからエレベーターへ続くのは、38メートルにも及ぶ長い廊下。ステンレスティールの床と木目の天井のコントラストが圧巻。

 ホテルの建物と内装およびインテリアのデザインを担ったのは、京都出身の建築家・山口隆氏。

 京都の伝統的な建築物「京町家」を現代風に再構築、テクノロジーを駆使した光の演出をとりいれるなどして、まったく新しい“京モダン”な空間に仕上げている。

部屋は全部で4タイプ。写真は、「MOGANA White」。心までクリーンアップされそうな“真っ白”な部屋は一見無機質だが、必要なものはあるべき場所に収納されており、不便さを感じない。
部屋は全部で4タイプ。写真は、「MOGANA White」。心までクリーンアップされそうな“真っ白”な部屋は一見無機質だが、必要なものはあるべき場所に収納されており、不便さを感じない。

 モガナの魅力は、セレクトショップのように、さまざまな“物語”のある空間や物に出合えること。

 ファシリティやグッズはすべて、その道のスペシャルなブランドや職人とコラボレートしている。

 オーナーの審美眼で選ばれたそれらのルーツは異なれど、ゲストの滞在を盛り上げたいというコンセプトは同じ。

 コーヒーは京都・北大路堀川にある自家焙煎・スペシャルティコーヒー専門店「AMANO COFFEE ROASTERS」のオリジナルブレンド。お茶は元禄年間からの歴史を持つ「丸久 小山園」の香り高い古都茶。

 さらに、原嶋亮輔氏が手がける「Shale」のオリジナルのリネンウェア、「matohu(マトフ)」の長着の展示販売ならびにレンタルと、ホテル内はもちろん外出時の装いまで気配りされている。

 「MOGANA’s GIFT」と称して、ホテルの外でもMOGANAの特別メニューがいただける話題の店や隠れ家、人気料亭の席をリザーブしてくれるというぬかりのなさ。

2階にある「MOGANA Bar」。カウンターはなんと8メートルの一枚板。金沢の金箔職人が作った24金パネルが雅の華を添える。
2階にある「MOGANA Bar」。カウンターはなんと8メートルの一枚板。金沢の金箔職人が作った24金パネルが雅の華を添える。

朝食で知る“日本の美意識”

 ホテル滞在の楽しみのひとつである朝食にも、モガナのアイデンティティがちりばめられている。

取材時のメインディッシュ。ワカモレ、白フムス、れんこんチップ、オクラの塩漬け、紫キャベツのラペ、トマトのファルシ、ポムフリット、ズッキーニのマリネ、野菜のグリル、チキンのバルサミコソース サーモン香草焼き。
取材時のメインディッシュ。ワカモレ、白フムス、れんこんチップ、オクラの塩漬け、紫キャベツのラペ、トマトのファルシ、ポムフリット、ズッキーニのマリネ、野菜のグリル、チキンのバルサミコソース サーモン香草焼き。

 ここでは朝食を「Fukiyose(ふきよせ)」と名付け、食を通して日本の美意識を表現した。

 主な食材は、古くから京都の朝廷に食材を提供した「御食国」のひとつでもある淡路島より調達している。

 豊かな海原と大地の恩恵をうけて育てられた食材を使った料理を彩るのは、「Awabi ware」「樂久登窯(らくとがま)」のオリジナル食器だ。

パンの盛り合わせは、京都で人気のパン屋、吉田パン工房のもの。その人気ぶりからなかなか手に入りにくいパンを室内でいただけるのはまさに至福のとき。
パンの盛り合わせは、京都で人気のパン屋、吉田パン工房のもの。その人気ぶりからなかなか手に入りにくいパンを室内でいただけるのはまさに至福のとき。

2019.03.30(土)
文・撮影=吉村セイラ
写真提供=モガナ