高級食材として珍重されるトリュフ。その芳しい美味しさは、フランスの美食家、ブリア゠サヴァランが「台所のダイヤモンド」と賞賛したほどです。

 主な産地はフランス、イタリアを中心としたヨーロッパで、種類や産地により収穫時季は異なりますが、とりわけ贅沢な白トリュフは10~12月頃に採れます。

 産地に住む人々もその収穫を楽しみにしている秋の味覚のひとつです。

 イタリアでは各地で採れますが、生産地として特に有名なのが、ピエモンテ州、トスカーナ州、マルケ州で、どこも美しい自然に恵まれた豊かな土地です。

 そのうち、トスカーナ州でもトリュフの産地として有名なサン・ミニアートと、そこで毎年開催されているトリュフ祭りをご紹介します。

 サン・ミニアートの町の歴史は紀元前にまでさかのぼるそうで、8世紀頃にこの地に作られた教会を中心として発展してきたとされています。

 中世、有力都市であったフィレンツェとピサを結ぶように流れている、アルノ川沿いの小高い丘の上にあります。

 美しい緑の丘の上に立つ塔が町の目印です。

 町は、中世の頃を彷彿とさせる石畳の情緒溢れる佇まいを残しており、小さいながらも散策を楽しむのに十分な魅力があります。

 広がる青空、丘の上から見渡す緑の平原、吹き抜ける爽やかな風、その自然こそが町の魅力でもあります。

 町の自然が恵んでくれるものは景色だけではありません。世界の美食家を魅了する「台所のダイヤモンド」も豊かな自然の賜物です。

 小さなこの村をにぎわす秋の収穫祭「トリュフ祭り」を次にご紹介します。

文・撮影=藤原亮子