素材へのこだわりと責任
限りある資源を未来へ

●The Fish Counter
(ザ・フィッシュ・カウンター)

トロントから世界各国を巡り、バンクーバー「シー」を経た名シェフのロバート・クラーク氏。

 バンクーバーで活躍するトップシェフのコックコートや評判のレストランのメニューには、必ずといって良いほど魚のマークをあしらった「OCEAN WISE」のロゴマークを目にする。

 「オーシャン・ワイズ」とは、限りある海の資源を維持するために環境にダメージを与えず、自然に優しい漁獲・養殖方法をとるシーフードを選ぼうというサステイナブル(持続可能)な取り組み。バンクーバー水族館と共同で提唱したのが、シェフのロバート・クラークだ。

酢漬けなど魚の加工品もロバート氏がプロデュースする。

「レストランで経験を重ねるにつれ、どこでどのように獲れた魚なのかが気になってね。仕入れ業者に尋ねても、答えづらいのか納得した回答が得られなかった。そのうち漁師から直接魚を仕入れるようになり、詳しく話を聞いたら海洋資源に大きなダメージを与えている状況を知ったんだ」

サンドイッチやタコス、スープとメニューも充実。手頃な値段でレストランと肩を並べる味わい。

 ロバートが危機感を覚えたのは1990年代。当時、大きくて身が白いチリ産のシーバスが流行していたが、2000年代に入るとサイズは小さくなり色もグレーを帯びはじめ、明らかに質が低下していった。

 以来、輸入魚の扱いをやめ、地元漁師から直に仕入れるなど行動を起こしたのだという。'05年にスタートしたオーシャン・ワイズはバンクーバーからカナダ全土へと広がりを見せ、多くのシェフやレストランが参加するまでとなった。

魚を美味しくするスパイスや調味料も棚に並ぶ。

「バンクーバーは先進的な都市で、サステイナビリティへの意識も高い。港町だったことも成功の大きな要因だと思うよ」

 レストランのシェフをリタイアし、鮮魚店に転身したロバート。メイン・ストリート沿いに'13 年、ザ・フィッシュ・カウンターをオープンした。一体、どうして?

 「レストランレベルでは成功し、政府も賛同して、漁業関係者も真剣に取り組むようになった。けれど、一般消費者向けの小売業者は儲からないと思って誰もやりたがろうとしない。きちんと売れるし、ビジネスとしても成功するということを示したくて、デモンストレーションのつもりで始めたんだ」と、茶目っ気たっぷりに笑う。

フライはその日の魚から選べる。白身魚のオヒョウ、ハリバットは2ピース 24.99カナダドル。ブイヤベース 7.90カナダドルも絶品。

 一流の料理人が目利きした魚が購入でき、隣のカウンターではフィッシュ&チップスなども販売。一流レストランなら50カナダドル近くするブイヤベースが8カナダドルで味わえるとあり、ローカルにも評判だ。

 大好きなシーフードを未来へ繫ぐ。バンクーバーの食は健全で、明るさに満ちている。

The Fish Counter
(ザ・フィッシュ・カウンター)

所在地 3825 Main Street, Vancouver, British Columbia
電話番号 604-876-3474
営業時間 10:00~20:00
定休日 火・水曜
http://www.thefishcounter.com/

Text=Mamiko Kume
Photo=Takashi Shimizu
Coordination=Kaz Hasegawa
Cooperation=Destination Canada

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