4人の親方が受け継ぐ
やちむんの美しい世界観
●読谷山焼北窯
古くは600年以上もさかのぼる「やちむん(焼き物)」の歴史。昔と変わらぬ土で築いた登り窯と琉球松の薪で焼き上げる器づくりで、琉球民芸の色あせることない魅力を伝えているのが「読谷山焼北窯」だ。
宮城正享さん、與那原正守さん、松田米司さん、松田共司さんの4人の親方が共同で13連房の土窯を守り、それぞれ異なる個性の作陶活動に日々、精進している。
「やっぱり土の窯は、レンガと違って、いい感じにゆるーく仕上がるんだよね」と語る松田共司さん。だが、その“いい感じ”は、一朝一夕には生み出されないという。
「この窯も20年ほど使い込んで、だんだんよくなってきた。でも、いつかはまたつくり直して、一から始めなきゃいけないんだよ」
窯をつくり、土をつくるところから始まる北窯の器づくり。そこで何より大切なのが、沖縄ならではの“相互扶助(ゆいまーる)”の心だという。島の大地とそこに宿る温かな魂が、ゆるやかでのびやかな、やちむんの美学を育むのだ。
読谷山焼北窯
やちむんの里に1992年に開かれた人気窯元。売店では4人の親方の器を購入でき、窯出しのタイミングにより、品揃えは異なる。
所在地 沖縄県中頭郡読谷村字座喜味2653-1
電話番号 098-958-6488
営業時間 9:30~17:30
定休日 不定休
文=矢野詔次郎
撮影=橋本 篤